同棲生活 10日目

約束の日

 幸せ過ぎる風呂を堪能たんのうし、自室へ戻った。それからは、ゆったりとした時間が流れて――就寝時間。明日は『土曜日』だから、早めに寝ないと。


 そう、忘れてはいけない『会長』との大切な約束・・があった。それは『映画』を見に行くという、あの自称・無趣味な会長からのありがたいお誘いだった。だから、明日は会長との時間を過ごそう。



「……そろそろ寝るか」



 ベッドに横になったタイミングで『ピコッ』とスマホが鳴る。一応、画面を確認するとリアからだった。



『おやすみのキス、まだ?』



 最近は毎日していた。今日はまだだったな。俺は、リアの部屋に向かった。ノックをして入ると、かなり薄着のリアがベッドに寝そべっていた。


 俺の存在に気付くと、リアは両手を挙げて歓迎する。ベッドに入って来いって事らしい。ハリウッド映画のラブラブ夫婦かよ! まあいいや。



「リア、一回したら直ぐ寝るからな。ここ最近、寝る前のキスが長すぎて寝不足になるんだ……頼むから、一回な」

「やだ♡」



 ――と、拒否しつつリアは強引にキスしてくる。


 そのまま抱き合う形で――いつものように一時間ほど甘々なキスを過ごした。……ああ、また寝不足確定だな。



 ◆



【7月16日 土曜日】



 不思議な音が俺を目覚めさせた。

 俺はどうやら、深い眠りについていたらしい。重い頭を上げ、潜水艦のソナー音を響かせるスマホのアラームを消した。その丁度に『会長』からのメッセージがあった。


『神白くん、今日は約束の日・・・・ですね。楽しみにしておりますよ。十時には迎えに行きますね』

「比屋定先輩……わざわざ迎えに来てくれるのか。なんだか悪いな」


 時間は八時半。

 会長が来るまでに二時間あるので、まずはリアを説得しないとな。



 自室を出ると、リアの姿がなかった。



 まだ寝ているのかなとリアの部屋を確認するが、姿がない。もしかして……トイレかな。そのうち姿を現すだろうと椅子に座った時だった。


「はぁ~、朝風呂気持ち良かったぁ~」

「――げっ、リア!」



「……え!」



 お風呂上がりのリアは、バスタオル一枚の姿だった。一瞬、背を向けたけれど、直ぐに向き直った。


「な、なんで着替えていないんだよ!」

「う……。だって、今日は土曜日だから、まだ寝ているかと思ったの。早起きだったんだね、大二郎」

「まあ、ちっと用事があるんでな」


「え……今日は用事あるの?」

「悪い、俺はちょっと他の人と出掛ける」

「それって……男友達?」


「……そ、それは……」


「分かりやすい。その反応、相手は女子だね」

「な、なぜ分かった!」

「はい、確定ね」


「は、はかったな!! リア!」


「ふぅん、そっか。相手は、あずさちゃんかスズさんだね」

「!!」


 やばい、やばいって……リアの推察力半端ねェ。まるで名探偵シャーロック・ホームズのような……いや、まあ普通に察しがつくだろうけど、ここまでズバズバ暴かれると、ちょっと恐ろしいな。



「たまにはいいかぁ」

「許してくれるのか?」

「うん、たまにはね。わたしもちょっと男の人と用事あるし」


「え…………」


「大丈夫。こっちはお爺ちゃん・・・・・とデート」

「なんだ、びっくりさせるなよ」



 一瞬、焦ったぞ!!

 セルゲイさんと何処どこか行くのかな。それはそれでちょっと気になるけど、帰ったら聞いてみよう。



「じゃあ、今日は別々だね」

「すまん。でも、明日は一緒に映画へ行こう、約束だしな」

「うん。あと少し時間あるし……それまで甘えていい……?」


 まるで親に甘えたい子供のような上目遣いで、リアは俺を見つめてきた。……そんなカッコで、そんな表情されたら、たまらないって。


「今日、離れ離れになる分を今充電しておくか」

「やったぁ! じゃあ、すぐ着替えてくるね♡」

「お、おう」


 あんな上機嫌にされたら、もう可愛がってやるしかないじゃん! ……よ、よし、気合入れるか。



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 いつも応援ありがとうございます。

 いままで【1日2投稿】しておりましたが、今週から負担軽減のため【1日1投稿】とさせて頂きます。(たまに連投するかもです)

 一度完結も考えておりましたが、多くの応援を戴いているため、もう少し続けようと考えました。なのでとりあえず『同棲生活 10日目』までは続けたいと思います! 

 面白い、続きが読みたいと感じたらで良いので★、♡、フォローなどして戴けると幸いです。なお、★は1個でも2個でも構いません。応援戴けたら嬉しいです。

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