前も後ろも洗ってくれる!?

 美味しい料理を味わって、お腹いっぱいになった。感じた事のない幸福感に包まれて、俺は涙しそうになった。涙腺崩壊をギリギリで耐え、俺は風呂へ。


「……ふぅ。やっぱり、リアがいると生活が楽しいな」


 浴室に入り、シャワーを浴びる。

 一日の疲れを流していると、脱衣所に気配を感じた。……ま、まさか。



「大二郎、あのさ……」

「リ、リア!?」

「お、お背中……流そうか?」

「マ、マジかよ。いいのか」

「うん。いいよ」



 いいのかよ。なら、お言葉に甘えるか。なぁに、背中を流して貰うだけだ……別にそれ以上はないだろう。


 俺は念のために腰にタオルを巻いた。その状態で椅子に座って待った。その直後、リアが浴室に入ってきた。水着姿で。



「俺は向こう向いてるから」

「了解。じゃあ、洗っていくね」



 シャワーヘッドを手に持ち、丁度良い水圧のお湯を背中に当ててくるリア。う~ん、いい加減だ。次に、ボディーソープを泡立てて塗りたくってきた。


 あの細い指を使い、絶妙な手使いでマッサージしてきた。おぉ……って、あれ……なんかエロいぞ、これ。背中なのにね……。



「ど、どう?」

「気持ちいよ。リア、エステとか経験あるのか」


「少し興味があってやっていた事があるの」

「そうか、それでこんな上手いのか」

「あ、あんまり褒めないで……嬉しすぎて、我慢できないかも」


「な、何をだよ!?」

「……えっちな事とか」



 前から感じていたけど、リアは結構大胆だ。こう言ってはなんだが、キスをしまくってくる時点で相当ヘンタイレベルが高い。


 いやしかし、リアはもう存在自体がえっちの権化ごんげ。塊。存在なのだ。性の対象で見るなという方が失礼である。


 だから、俺もどちらかと言えば――リアとえっちな事をしたい。それが男ってもんだろう。



「俺も……ちょっと我慢できない」

「え……」

「けど、ただ普通に要求してもつまらないからな。……そうだな、ジャンケンをしよう。俺が勝ったら前も洗ってもらう。負けたら、リアの望みをひとつ聞こう」


「ま、前を……!?」


 さすがのリアも赤面していた。

 おや、この反応は予想外。


「なんだ、リアは前は嫌か?」

「そ、そうじゃないけど……男の人の見たことないし」

「ん、何を?」

「い、言わせないでよぉ……。そ、それより、ジャンケンでしょ! わたしか勝てばなんでも言う事を聞いてくれるんだよね」


「その通り。じゃあ、やるか?」

「分かった。勝負ね!」



 じゃんけ~ん……ポンッと。



「おし、俺の勝ち~」

「えぇッ!? 大二郎……ジャンケン、強いんだ」

「ふっ、これでも俺はジャンケンだけは負けたことがないんだ」

「ず、ずるー…」

「さあ、前も洗って貰うぞ」

「く、悔しい。けど、分かった……前も洗うね」


 俺は向き直って、なるべく上を向く。

 眼下には、リアの透き通るような豊満ボディが……やばいな。この至近距離はやばい。あの核兵器級の巨乳おっぱいには敵わん。興奮して情けない姿を見せてしまいそうだ。


「約束通り、頼む」

「……がんばるね」



 小さな手が俺の大胸筋だいきょうきんでる。ゆっくりと丁寧に泡立たせるリアは、緊張でどうかなりそうな表情をしていた。指も震えているし、かなりドキドキはしているようだな。俺もだけど。


「いいぞ……うまい」


 ソフトタッチが続く。

 こんなクリームを塗りたくるような感じだと、気持ち良すぎる。これが天国か……!



 そうして静かな時間が流れた。

 前も洗い終えるとリアは、熱の篭もった吐息を漏らす。



「初めてだったし、上手くできたかな?」

「最高だった。リアに前も後ろも洗って貰えるとかガチの天国だったよ、ありがとう」

「褒めてくれて嬉しい♪ でも、もっと褒めて欲しいから……頭でて」


「い、いいのか? 髪に触れられるのって、女の子は相当嫌うって聞いたけど」

「わたしが良いって言ってるからいいの。ほら」

「そ、そか」


 ……ヤバ。リアの髪に触れた事は一度もない。というか、女の子の髪に触れるとか……人生で初めて……なんかすっごく緊張するな。この銀髪に触れられるのか……。



 高級なものに触れるような感覚で、俺はリアの髪に触れた。…………わぁ、これがリアの髪。ふわふわのつやつや。こ、こんな女神のような髪を触れさせてくれるとか……!



「んん~♡」

「リア、こんな感じでいいか」

「うん。大二郎、好きだよぉ~♡ 大好き♡」



 生きていて本当に良かったぁ……。

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