ラブレター開封作戦
……だけなんだが、リアの視線が痛い。
「…………」
なんか察しているような感じなんだよなあ。というか、会長からのラブレターか。信じられんな。確かに、ちょっと前に弁天島の海水浴場で会話をし、冗談で“ヒモにしてくれ”とか言っちゃったけどさ、アレ、本気にしちゃったのかな。
まさかな。
どうにかして手紙を読みたい。
読みたいが、リアの視線がなあ~…。
――結局、手紙は開封できず一限目を終えてしまった。
休憩時間になると、リアが俺の
「……大二郎」
「な、なんだ」
「次の授業は、理科の谷村先生だったんだけど
なぬっ!
それじゃあ、また手紙が読めないじゃん!
――結局、二時限目も、三時限目も無理だった。
そのまま、昼を迎えてしまった。
隣の席のロシアっ子はとにかく俺に隙を与えなかった。なんなら、キスもしてきた。これでは完全にリアのペースである。勝てねえ……。
お昼は、生徒会室へ向かった。
今のところ五乙女と会長の姿がない。いつもは先にいるのにな。
「な、なあ……リア」
「見て見て、大二郎」
「ん?」
パイプ椅子に座るリアは、お茶のペットボトルを
「これね、ひんやりして冷たくて気持ちいの!」
「この部屋はまだ冷房をつけたばかりだし、暑いよな。ああ、それで股を冷やしているのか」
納得していると、リアは手招きをする。
俺は近づいていく――と。
「このペットボトル、取っていいよ♡」
リアが何故か小声で、しかも俺の耳元でそう囁いた。
「って、これを取れってか?」
「うん。熱中症対策。飲んでね」
「お、おう」
俺はリアの股から、キンキンの冷えたペットボトルを抜き取った。……さっきまで、リアの股に挟まれていたんだよなぁ、これ。
リアの方はハンカチで股についた水滴を拭っていた。そうなるわな。
ん……? なんか肝心な事を忘れて……ああッ!
そうだよ、
ついつい、リアのペースに飲まれていた。恐るべし、ロシアっ子!!
なんとか一人になるチャンスがあるといいのだが……。思考をフルに回転させ、戦略を練っていると、ガラッと扉が開いた。
そこには、五乙女の姿があった。
「失礼しま~っす」
「五乙女!」
「ちっす、大二郎くんにリアちゃん。会長は、少し遅れて来るってさ」
「そうか、分かった。五乙女、リアの相手をお願いできるか」
「ん、リアちゃんの? いいけど」
これしか方法がない!
五乙女に任せて、俺はその隙に手紙を読む。今度こそ……今度こそ誰にも邪魔されずに、中身をチェックしてやる。
いい加減に気になるし!
「大二郎、ちょっと……」
「リア、すまないがちょっと用事があるんだ。五乙女と話していてくれ」
「そ、それは分かったけど。うわぁ、あずさちゃん何するのー!?」
五乙女は、リアの
ずっと見ていたい気もするぞ。
いや、今は『手紙』の方が最優先事項である!!
五乙女が、リアとふざけあっている今が最大のチャンス。この機を逃してなるものかッ! 俺は、
「こ、これは――」
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