サプライズゲーム

 ラブレターかと思われた封筒の中身には『映画のチケット』が二枚入っていた。それとメッセージカード。


『神白くん、遅くなったけど誕生日おめでとうございます。映画は、リディアさんと一緒に行くといいですよ。もちろん、私を誘っても構わないですが、その時はラインして下さいね』


 これは誕生日プレゼントだったのか。

 確かに、俺は七月七日たなばたが誕生日だ。

 なんというサプライズ。

 これは予想外というか、しかもSF映画とはな。俺は、映画が大好きだった。特に今上映中の『Interstellarインターステラー』は、名作中の名作とネットで話題沸騰中。SF大好きっ子の俺は、見に行こうと思っていた所だった。


 マジか!

 これは嬉しすぎるぞ。


 ……しかし、誰と見に行くかが問題だな。チケットは二枚しかない。


 メッセージカードには、リアと行ったらどうかとは書いてあるけど……会長から貰ったものだから、会長を誘わないのは失礼かもしれない。


 悩んでいると、会長がやって来た。


「遅くなりました。おや、神白くん……あ」


 俺の手元を見て会長は微笑む。

 この悪い顔。そうか、俺を悩ませる為にわざとだな!?


「会長……」

「それは後です。それより、リティアさんにあずさちゃん。何をしているのですか?」


 くっ、スルーされたか。

 二人は相変わらずイチャイチャ抱き合っている。そろそろ止めておくか。


「おい、五乙女。もういいぞ」

「ああ、そう? でも、リアちゃん柔らかくて抱き心地良いんだよね~。あと、おっぱいも大きいし!」


 このセクハラ魔人め。リアが顔を赤くして反応に困っているじゃないか。……ナイスだ。


「も~、あずさちゃん!」

「ごめんごめん。さあ、お昼にしよう」


 ――とまあ、なんだか馴染みつつある生徒会室での昼食が始まった。……映画、誰と行こうかな。



 ◆



 まったりとしたお昼を終え、俺はリアと共に教室へ戻ろうとしたのだが。


「ちょっと待って下さい、神白くん」

「なんでしょう、会長」


 呼び止められ振り向くと、会長は俺ではなくリアを見た。


「神白くんはお借りしますね、リディアさん」

「え……どうしてですか?」

「理由は極めてシンプルですよ。彼に話があるからです」

「話……? なら、終わるまで待ちます」

「いえ、長話になるので。放課後になってしまいますよ」

「では、わたしもご一緒します」

「言ったでしょう、私は神白くんに話があると」


 ……あれれ、バチバチと火花が散ってないか、これ。俺が仲裁に入った方が良さそうだな。


「まあ、まてリア。この前、棚橋の件で退学にならなかったのは会長や五乙女のおかげでもある。だから、俺もお礼が言いたかったし」

「……あ、そっか。ごめんね」


 リアは分かってくれたようで、渋々しぶしぶだがうなずいた。


「後でいっぱい相手するからさ」

「うん、絶対だよ。嘘だったら許さないからねっ」


 若干、涙目のリアは頬を膨らませて生徒会室を出て行った。……今のリア、めちゃくちゃ可愛かったな。

 妙な高揚感に包まれていると、五乙女が立ち上がって俺の目の前に。


「大二郎くん、あたしも話があるからね! 今夜、ラインして」

「五乙女、お前もか」

「うん、絶対だからね」


 ラインくらいならお安い御用だ。

 五乙女も生徒会室から出ていく。

 そして、ついに俺と会長の二人きりに。


 これから何の話をするんだろうかと会長の顔を伺ってみると、座るように指示され俺はパイプ椅子に腰掛けた。会長は、椅子を持って来て俺に対面するような形に。


「いったい、何が始まるんです?」

「ゲームをしましょうか」


 会長は、手を自身の胸に突っ込む。すると胸元からカードを取り出した。――って、そんなところに隠していたのかよ。ずっと挟んでいたのか!?


 どうやら、カードゲームが始まるらしい。まさかのデュエル……?

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