同棲生活 6日目

会長のラインゲット!

 目覚めると、体が金縛りになったみたいに動けなかった。俺は……誰かに呪いでも掛けられたのか。


 目をそっと開け、状況確認に努める。


 ……まず視界に入ってきた銀髪。白い肌。静かな寝息。なんか可愛すぎる小さな顔が目の前にあった。俺の体は、やたら柔らかい物質に支配され、しょぱなで理性をぶっ飛ばされた。



「リリリリリ、リア~~~っ!!」



 何故か俺の体の上に、リアがいた。

 道理で身動きが出来ないわけだよ。がっちりホールドされているし……う~ん。とりあえず、どうすれば……。


「ん~、大二郎。おはよう」

「お。目を覚ましたか、リア。もう起きてくれよ、遅刻しちゃうよ」

「あ、そか。ごめんね」


 ノロノロと立ち上がるリアは、よく見ると体操着だった。……嘘だろ、俺、あんな薄着の体操着姿のリアと密着していたのかよ。


 ……ヨシッ。



 ――朝支度を済ませ、家を出た。



 今日も青空で、太陽が照り付けていた。まだ夏は始まったばかり。そういえば、学校もあと少しで夏休みか。


 なんて考えていると、弁天島駅。

 わずか二分の電車に揺られていくのだが、今日は非常に混雑していた。どうやら、どこかの駅で遅延ちえんがあったらしいな。


「大二郎……今日、人多くない?」

「……ああ、人身事故かな」


 缶詰状態で、俺とリアは密着状態。

 他の人間にリアを触れらせたくない俺は、包むようにしていた。これならお尻とかも触られないはずだ。そんな痴漢なんて絶対に許さんが!


「……それにしても、凄い密着だね♡」

「ま、まあな。でも、暑苦しくないか」

「冷房効いてるけど、暑いね。あ~、もうまた汗で胸が透けちゃう」


 困った顔をするリアは、しきりに胸を気にしていた。実際昨日、汗で透けていたからなあ。



 そんなこんなで何とか舞阪駅に到着。



「完全に密着状態だったし、きつかったなあ」


「大二郎がいて良かったよ~。自分で言うのもあれだけど、わたしこんな胸大きいし、お尻も出てるから狙われやすいんだよね。だから、守ってくれてありがとね」


「ああ、被害がなくて良かったよ」


 舞阪駅の外に出ると、見知ったバイク少女がいた。もう馴染み深い光景である。


「おはよう~。大二郎くんとリアちゃん」


 やっぱり、五乙女そうとめがいた。


「おはよう、五乙女。お前、俺達のファンなのか?」

「ある意味、間違っていないかもね。じゃあ、また学校で! アデュー!」


 なぜ、フランス語?



 ◆



 秋桜学園の門を抜け、そのまま教室へ。

 定位置である窓側の、一番後ろの席に座る。リアも隣に。


「ねえ、大二郎! スズさん……会長からラインきたよ!」

「なんの脈略もなしに、いきなりなんだ!?」


 リアのスマホに映るラインを覗くと、そこには会長である比屋定先輩からのメッセージがあった。


『神白くんのラインも教えて下さい。比屋定』


 ――と、あった。

 マジか! そういえば、五乙女には教えてあったけど、生徒会長はまだだったな。まあ、交換して損はないし、いいか。


 俺は承諾した。

 すると直ぐにラインの追加があって俺は承認。驚くほど超早いレスポンスでメッセージが飛んで返ってきた。



『神白くん、友達登録ありがとうございます(`・ω・´)』

『いえいえ、こちらこそ今後もよろしくお願いします。会長』

『あ、私の事は呼び捨てで構いませんよ~(`・ω・´)』

『いえ、会長は会長なので』

『そうですか(`・ω・´)』



 なんだこの顔文字。いちいちウゼェ~! と、言いたいところだが、会長ってラインだとこういうキャラなのか。


『じゃあ、授業があるので。お昼に生徒会室へ向かいますよ』

『ええ、そうしてくれると嬉しいです。それと、昨日のお手紙は読んでいただけましたか?(`・ω・´)』


 え……手紙?

 あ、下駄箱にあったラブレターっぽいヤツ。ま、まさか……会長のだったのかよ!! まず、封すら開けていないぞ。


 授業中にこっそり読んでおくか……!

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