同棲生活 6日目
会長のラインゲット!
目覚めると、体が金縛りになったみたいに動けなかった。俺は……誰かに呪いでも掛けられたのか。
目をそっと開け、状況確認に努める。
……まず視界に入ってきた銀髪。白い肌。静かな寝息。なんか可愛すぎる小さな顔が目の前にあった。俺の体は、やたら柔らかい物質に支配され、
「リリリリリ、リア~~~っ!!」
何故か俺の体の上に、リアがいた。
道理で身動きが出来ないわけだよ。がっちりホールドされているし……う~ん。とりあえず、どうすれば……。
「ん~、大二郎。おはよう」
「お。目を覚ましたか、リア。もう起きてくれよ、遅刻しちゃうよ」
「あ、そか。ごめんね」
ノロノロと立ち上がるリアは、よく見ると体操着だった。……嘘だろ、俺、あんな薄着の体操着姿のリアと密着していたのかよ。
……ヨシッ。
――朝支度を済ませ、家を出た。
今日も青空で、太陽が照り付けていた。まだ夏は始まったばかり。そういえば、学校もあと少しで夏休みか。
なんて考えていると、弁天島駅。
「大二郎……今日、人多くない?」
「……ああ、人身事故かな」
缶詰状態で、俺とリアは密着状態。
他の人間にリアを触れらせたくない俺は、包むようにしていた。これならお尻とかも触られないはずだ。そんな痴漢なんて絶対に許さんが!
「……それにしても、凄い密着だね♡」
「ま、まあな。でも、暑苦しくないか」
「冷房効いてるけど、暑いね。あ~、もうまた汗で胸が透けちゃう」
困った顔をするリアは、しきりに胸を気にしていた。実際昨日、汗で透けていたからなあ。
そんなこんなで何とか舞阪駅に到着。
「完全に密着状態だったし、きつかったなあ」
「大二郎がいて良かったよ~。自分で言うのもあれだけど、わたしこんな胸大きいし、お尻も出てるから狙われやすいんだよね。だから、守ってくれてありがとね」
「ああ、被害がなくて良かったよ」
舞阪駅の外に出ると、見知ったバイク少女がいた。もう馴染み深い光景である。
「おはよう~。大二郎くんとリアちゃん」
やっぱり、
「おはよう、五乙女。お前、俺達のファンなのか?」
「ある意味、間違っていないかもね。じゃあ、また学校で! アデュー!」
なぜ、フランス語?
◆
秋桜学園の門を抜け、そのまま教室へ。
定位置である窓側の、一番後ろの席に座る。リアも隣に。
「ねえ、大二郎! スズさん……会長からラインきたよ!」
「なんの脈略もなしに、いきなりなんだ!?」
リアのスマホに映るラインを覗くと、そこには会長である比屋定先輩からのメッセージがあった。
『神白くんのラインも教えて下さい。比屋定』
――と、あった。
マジか! そういえば、五乙女には教えてあったけど、生徒会長はまだだったな。まあ、交換して損はないし、いいか。
俺は承諾した。
すると直ぐにラインの追加があって俺は承認。驚くほど超早いレスポンスでメッセージが飛んで返ってきた。
『神白くん、友達登録ありがとうございます(`・ω・´)』
『いえいえ、こちらこそ今後もよろしくお願いします。会長』
『あ、私の事は呼び捨てで構いませんよ~(`・ω・´)』
『いえ、会長は会長なので』
『そうですか(`・ω・´)』
なんだこの顔文字。いちいちウゼェ~! と、言いたいところだが、会長ってラインだとこういうキャラなのか。
『じゃあ、授業があるので。お昼に生徒会室へ向かいますよ』
『ええ、そうしてくれると嬉しいです。それと、昨日のお手紙は読んでいただけましたか?(`・ω・´)』
え……手紙?
あ、下駄箱にあったラブレターっぽいヤツ。ま、まさか……会長のだったのかよ!! まず、封すら開けていないぞ。
授業中にこっそり読んでおくか……!
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