放課後

 ――なんやかんやあって、放課後。


「帰るか」

「大二郎、一緒に帰ろう」

「……リア、いいのか。まだ初日なんだから出来立てホヤホヤの女友達と帰った方が建設的だと思うんだが」


 リアの人気は今やうなぎ登り。

 性別問わず常に話しかけられている状況であった。そんな中だというのに、リアは俺に話しかける。その度にクラスメイトから羨ましがられていた。


「いいの。わたしは大二郎と一緒に帰りたいんだから」


 そんな目で見られたら断れないな。どのみち帰る家は一緒だし、リアが良いというのなら良いのだろう。けどなぁ……。


「う~ん」


「Я хочу быть с тобой всегда」(一緒にいたい)


「え……なんだって?」

「ううん、なんでもない」


 なんかロシア語で凄い感情を込めて告白をされた気が……。もちろん、俺にロシア語なんて理解できるはずもなく。でも、なんとなく意図は汲めた。


「分かった、一緒に帰るか」


 そう俺が言うと、リアはめちゃくちゃ嬉しそうに飛びついてきた。……わぁ、他のヤツが見てるって……! まあ、いいか。


 ここまで可愛い顔されると怒る気もなれなかった。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る