嘘はつけない

「わたしと大二郎は同棲どうせいしているの! 関係大ありよ」

「……なッ! なんですって……! 嘘よね、大二郎くん」


 確認してくる五乙女そうとめ

 俺には嘘はつけない。

 特にリアに対しては。


「本当だ。リアとは両親の言いつけで隣町のアパートで同棲中。昨日からな」

「き、昨日から!? そんな、そんなぁ……!」


 なんだか涙目になる五乙女そうとめは、悔しそうに唇を噛み――そして、背を向けた。


「お、おい。五乙女そうとめ!」

「うあぁぁぁぁぁん! 大二郎くん取られちゃったぁぁ……」


「……え」


 ま、まさか……

 五乙女そうとめのヤツ、俺の事が? 確かに、他の女子と比べると話す機会は多かった気がするけど、放課後にちょっと話すくらいだったけどなあ。

 あまりの事態に案山子かかしのようにぼうっと突っ立っていると、リアが俺の頬にキスをしてきた。このキス魔め。


「嘘つかない正直な大二郎が好き♡」

「お、おう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る