ライン交換

 リディアは買ったばかりのスマホを取り出して、画面を俺に見せた。


「ねぇ、大二郎。ライン交換して」

「そういえば、まだ交換してなかったな」

「うん、じゃあ交換しよう」

「分かった。このQRコードで友達に追加してくれ」


 俺は、左ポケットからヒョイっとスマホを取り出し、友達の追加を頼んだ。一応、両親にリディアの面倒を見るように言われているし……なんなら同棲もしているし問題ないだろう。緊急の時に困るし。


「ありがと♪」


 嬉しそうに追加して、さっそく謎のスタンプを送ってくる。なんだろう、このヘルメットを被った猫のキャラクター。人差し指をどこかに向け『ヨシッ!?』とか言って変なポーズを決めている。


「なあ、リディア」

「ダメ」

「ダメ?」

「わたしの事は“リア”だよ」

「あー、そう言っていたな。分かった、親しみをめてリアと呼ばせてもらうよ」

「わーいっ!」


 そう愛称で呼ぶと、大変喜ぶリア。

 そんな閃光弾のようなまぶしい笑顔をされると怒りも湧き出ないな。むしろ心が洗われるようだった。天使かな。


 などとリアの満面の笑みに敗北を感じていると――



「そこ、不純異性交遊禁止です!」



 そんなシャキっとした声が俺を呼び止める。


 何事!?


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