第13話 コウの自由

祥子には愛娘コウの存在が絶対だった。

反抗期をすぎ、祥子へ心を開き始めた時に

中学へと進学する。

習っていたバレエも夏まで頑張って

表現してきた。


ある日コウは進学について祥子に通信制へ

行きたいと相談してきた。

以前の祥子であればもったいないと

引き止めただろう。

どうも中学になじめていないのだろうか。

と何となく勘づいた。


祥子は何なく高校へ通ったものの

自分の人生、振り返ってみて

進学が全てではないと知っていた。

親としてできること、コウへエールを送った。


夏休み、バレエの勉強会では白鳥を

披露した。

勉強会へ行く前、

次の発表会をもってバレエを辞めると

祥子に告げた。


祥子も幼少時に習わせてたものだから、

本人の意思があったかどうか不確かなので

承知した。

しかしコウの優美で圧倒的な存在感のある舞

にもったいなさを覚えた。



そんなコウだが祥子が大吾と交際し、

寂しさを埋めるためだろうか。

配信者へのリスペクトが強くなってきた。

何をするにもタブレット端末を持ち歩き

けたけたと笑っている。

祥子も理解ある親を演じたく一緒に配信を聞き一緒に笑った。


朝が苦手なコウは日に日に遅刻がちに

なった。

スパイラルに陥っていく。


きちんとみんなと同じく

学校に行きたいけれど行かれない自分が

情けないと涙したこともあった。

9月の連休はコウも大人並みに休んだ。


明けた月曜日、

靴下の左足がなかなかあげられなくなる。

祥子は見かねて担任と三者で面談できる様に連絡を入れた。

担任は登校できない原因を探るが

祥子は思い切って出席できないパターンの学習方法を聞いた。


「不登校児」の出来上がりである。

祥子は決めた。自分がコウを看る、

そして卒業させると。








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