第10話 隙間ないオトコ

祥子は涼からの手紙をもらった。

それは涼が手紙が欲しいと所望したので

投函したものへの返事だった。

2、3週間後の投函なのに、

昨日は来名ありがとうと。

一言二言

でこんなに筆が遅いのは面白かった。

けれど普段、

書き慣れていないだろう彼の字は

誤字訂正線の目立つ可愛らしいラブレター

だった。

ボールペンで描くと建前ではなく本音が出て

楽しいそうだ。

ラブレターの最後は、こうくくられていた。


商売の仕組みを強固にして、

余白を作るシステムを作ります。


余白を作るための隙間ない仕事を

がんばるらしい。たのもしい。


涼には3notes を一番にみてもらった。

彼に精神疾患がなんたるかを知って

欲しかったから。

彼は1度、語尾を強くし、

母親を非難したことがあった。

どんな疾患かは知らないが涼の母親にも

祥子と同類のモノだ思われる疾患があった。

結婚しない主義もそこにあると思う。

一緒におもり背負おうよ。

と伝えた時、

祥子にマイナスになるようなものを

背負わせるわけに行かない。と言った。


彼は母を、そして精神疾患を毛嫌いしてる。

ずーっと彼を悩ませてきたのだと思うと

胸が痛い。

いつか私もコウに悩ませる部分を

与えるのだろうか。

自分本位だけれど、

疾患と付き合ってコウを育てて

幸せに暮らしていることや、

今までしてきた疾患の症状など

涼の目に入れば何か響くのかなと思った。


そして第一完読者になってもらったのだが

まだそこに届く気持ちの余白は

なかったようだ。

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