第6話 特急かもめ

祥子は、特急かもめに揺られていた。

オトコふたりのことを考えている。

ふたりがとても対称的だからだ。

隙間ないオトコ涼と余白すぎるオトコ大吾。




涼と名古屋で出会った時のことを

思い返してみた。

第一印象はそのまま。

なぜならLINEでしょっちゅう自撮りの自分を

送りつけて印象付けていたから。

待ち合わせまでも完璧に待ち合わせ場所を

写真で送り自分の立ち位置も示していた。

カバンは皮ものだが仕事仕様。

PC、バッテリーはもちろん必要なもの全てが

きちんと隙間なく詰め込まれていた。


その上、祥子が持て余していた日傘も横たえて持ってくれた。

元野球球児で力持ち。行く場所は涼のプラン、

祥子の急な予定変更にも対応できるが

プランは隙間がなかった。


時間厳守がモットー、安心感があるが

トキメキは少なかった。



大吾の時は長崎駅、

あんな複雑な駅はなかった。

大吾の繊細さゆえ、待ち合わせ2日前から

連絡がない。

それでも祥子は出会えると思っていた。

到着直前のLINEで安堵させたオトコだった。


カバンは大きくモバイル系は

備えているものの隙間だらけだった。

何か買うとエコバックになる。

使い込まれていない光沢のある

レザーのリュック。

予定はざっくり、つどつど変更される。


行き当たりばったりに楽しい場所の確率が

高い。挨拶が大切と考えている。

サッカーファンだが大事なPKは寝入る

余裕もある。


2度目は待ち合わせ場所に来ず、寝過ごす。

そんな大吾だが祥子はなぜか許せた。 

3度目はもう待ち合わせしないことにした。

不安だらけなのに楽しさを共有できる事に

長けていた。



特急が長崎についた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る