旅立ち〜北へ〜

一夜明け、サーヤとアイリーンが目を覚ますと、

そこにはバルタザールとハリー君、そしてスタンの姿がありました。

「やぁ、目が覚めたかい。」

バルタザールは二人に声をかけました。

続いてスタンが口を開きます。

「久しぶりだなお嬢さん。元気してたか。」

それに対してサーヤが答えます。

「スタン、ハリー君を呼んでくれたのは、あなたね。」

するとスタンは言いました。

「いや、彼が自分の意志でここに来たのさ。俺はこの場所を教えただけさ。」

そうしているうちにテーブルには朝ごはんが用意されていました。

そして、みんなで仲良くご飯を食べたのでした。

しばらくすると、教会の物知りおじいさんがやってきました。

おじいさんは、今まで街の方へ行っていました。

どうやら大きな風がハリー君を乗せた船を浜辺に運んでくれた時、

おじいさんにはそれがハリー君たちなのだと予感していたのです。

それを確かめる為に、一人浜辺の方まで行っていたのです。

おじいさんはハリー君とスタンを見ると、こう言いました。

「そうか。二人の願いは届いたんじゃな。よかったよかった。」

そしておじいさんはゆっくり腰を下ろすと、浜辺にハリー君を乗せてきた船の話をしてくれました。

ハリー君が、船長達はどうしているかと聞くと、

浜辺にずっといたのではさぞ寒かろうと思い、

教会でよければ好きなようにお使いなさいと伝えた。

なので今彼らは教会で休んでいるよと言いました。

更に、彼等もハリー君がどうしているかを気にかけていたと言っていました。

そこでハリー君はクリスマスのお手伝いのことを思い出しました。

するとおじいさんは続けました。

「そのプレゼントは、子供たちが帰ってきてからゆっくりわたせばよかろう。まずは子供たちを迎えにいかねばならんのでな。」

更におじいさんはこう言いました。

「ハリー君や。君はこの街を一度助けてくれた。そして今街はこのようなことになっている。これはきっと神様が与えてくださった運命なのかもしれん。どうか子供たちを、そして、あの子を助けてやってくれ。」

そこへバルタザールが口を開きます。

「ハリー君。今この街には君の力が必要だ。道は険しく長いとは思う。しかし、そこはスタンが道を切り拓いてくれるはずだ。」

そして彼は棚の奥の方から小さな箱を取り出すと、テーブルの上でゆっくりふたを開けました。

そこには二つの首飾りがあり、それぞれに赤い石と黒い石が埋め込まれていました。

「これは聖なる炎と大いなる力を封じ込めた首飾りでね。選ばれた者でしかつけることができないものだ。今の二人ならつけることができるかもしれない。試してごらん。」

そう言って彼はハリー君とスタンの前に差し出しました。

ハリー君は、恐る恐る赤い石の首飾りに手を伸ばすと、ゆっくりと取り出しました。すると、赤い石はほんのりと光輝いて、まるで喜んでいるようでした。

一方スタンはなんの迷いもなく黒い石の首飾りに手を伸ばし、すぐさま首にかけました。

すると、スタンは一瞬稲妻に打たれたようなしびれを感じました。

「なんだ!?どうなってんだ!?」

と驚いていると、バルタザールは言いました。

「二人とも、どうやら選ばれたみたいだね。」

そう、それは黒い石の力がスタンの体に伝わったものだったのです。

こうして二人は選ばれたものとしてそれぞれの力を与えられ、子供たちがいるクリスタルマウンテンへの冒険の準備を始めるのでした。


そして、いよいよ出発の時。

サーヤはハリー君に、

アイリーンはスタンに、

手作りのブレスレットをプレゼントしてくれました。

「これ、二人でお祈りを込めながら作ったの。神様が二人を守ってくれるように。」

サーヤがそう言うと、アイリーンはこう言いました。

「スタンさん、ハリー君をよろしくね。」

するとスタンは言いました。

「任せとけ。子供たちは必ず連れて帰るからよ。」

そして、ハリー君はサーヤを、

スタンはアイリーンをぎゅっと抱きしめました。


こうして二人はハグルマビーチをあとにして、遥か北にあるクリスタルマウンテンへと旅立ったのでした。


さよならハグルマビーチ

おわり

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雪山の女王〜さよならハグルマビーチ〜 Mikoto@飼い主 @xxxmikotoxxx

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