対面

それからしばらくして、

三人はバルタザールのいる小屋へ着きました。

扉を開けると、彼は奥の暖炉の薪をくべていました。

そして、三人に背を向けたまま、

「連れてきたのかい。さ、中へお入り。」

と、三人を中へと招き入れてくれました。

薪をくべ終わると、ゆっくりと振り返り、

「君がハリー君だね。話は聞いているよ。」

と右手を差し出しました。

ハリー君はゆっくり手を出すと、

しっかりと握手をしました。

そして三人を暖炉の近くにある椅子へと案内しました。


「さて、何から話そうか。」

と、彼は三人に聞きました。

それに答えるように、ハリー君はスタンの話をしました。

すると、彼はこう言いました。

「二人から話は聞いていると思うが、街は今君の力を必要としている。もしスタンが君の手伝いをしてくれるというなら、彼を眠りから覚ましてあげよう。」

ハリー君はぜひそうしたいと伝えました。


気がつくと、外はすっかり暗くなっていました。

彼は三人に夕飯をご馳走してくれました。

そして、サーヤとアイリーンを暖炉の近くに眠らせてあげました。


さて、夜が更けた頃、

今夜は雲ひとつなく、月はまんまると辺りを照らしていました。

その頃、バルタザールとハリー君はスタンの森にいました。

二人はスタンの眠る場所につくと、ハリー君はあの日街の人にもらった勲章をバルタザールの描いた魔方陣の真ん中に置きました。

そして、魔方陣の外に出ると、

バルタザールは復活の呪文を唱えました。


「我が親愛なる者よ、再びこの地に甦れ。」


すると、どこからともなく動物たちの鳴き声がし、風が舞い込み、魔方陣は黄色く光りだして、その光は次第に激しく大きくなると、次の瞬間地面へと消えていきました。

月は雲にさえぎられ、辺り一面真っ暗になりましたが、やがて雲が去って月が辺りを照らし始めると、魔方陣の中に大きな影がありました。

その影はゆっくり立ち上がると目を開いて辺りを見渡しました。

そしてバルタザールの方を見ると、

「よう、久しぶりだな。」

と言いました。

彼はスタンを見ながら言いました。

「まさかお前の力が必要になるとはね。」

そして、スタンはハリー君を見つけると言いました。

「あんたがハリーか。来てくれて嬉しいよ。」

それに対してハリー君は小さくうなずきました。


こうして三人は対面を果たしたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る