約束

しばらくして、二人は落ち着いた様子だったので、ハリー君は何があったのかと聞きました。

すると二人は今まで起こった事を全て話してくれました。

ハリー君はその間優しくうなづきながら聞いていました。

ひと通り話し終わると、ハリー君はもう一度二人を抱きしめてあげながら、辛かったね。もう大丈夫だからねと伝えました。

またしばらくして、ハリー君は二人の顔を見ながら、バルタザールという人を知っているかとたずねました。

すると、サーヤは会わせてあげると言い、彼がいる小屋を案内してくれました。

小屋へ向かう途中、ハリー君は二人にスタンとの約束の話をしました。すると、二人は前にスタンが今に至るまでの話をしてくれました。

アイリーンは彼とずっと一緒にいた時、彼が優しく接してくれたこと、本当は人を傷つけるようなことはしたくないと言っていたことを話してくれました。

そして、アイリーンは聞きました。

「ハリー君、どうしてスタンは悪いことをしてしまったのかな?」

ハリー君は少し考えたあと、

それはきっと、人々が大切なことを忘れてしまったからなのかもしれないよと答えました。

続いてサーヤも聞きました。

「どうして人は大切なことを忘れてしまうの?」

ハリー君はまた少し考えると、

それはきっと、一生懸命に生きているから、時々忘れてしまうのかもしれないねと答えました。

アイリーンはちょっと悲しそうな顔をして聞きました。

「わたしもいつか、大切なこと忘れちゃうのかな?」

続いてサーヤも言いました。

「わたし、大切なことは忘れたくないな...」

そんな二人を見て、ハリー君はまた少し考えると、二人がその気持ちのまま大きくなれば、きっと大切なことは忘れたりしないよ。僕だって二人のことはいつまでも大切に思うし、決して忘れないと約束するよと伝えました。

二人は顔をあげて、にっこりしながら小指を差し出しました。ハリー君もそれぞれの小指をしっかりつかんで約束を誓いました。

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