運命のハグルマ

 時空渦の真ん中で、ハリー君は不思議な体験をしました。

気がつくと、ハリー君は深い森の中にいました。

辺りを見渡すと、そこには雪をかぶったいくつもの石たちが。

よく見ると、それは動物たちのお墓でした。

その時、後ろから声が聞こえました。

「あんた、ハリーだろ?サーヤとアイリーンを知ってるだろ?」

振り向くと、そこにはボロボロの服を着た狼が立っていました。

「俺はスタン。あんたは今俺の住む森の中にいる。」

そう言いながら、彼はゆっくりハリー君に近づいてきました。

ハリー君は「二人を知っている。会いたい。」と伝えました。

すると、彼はこう言いました。


「それには一つ頼みたい事がある。

 今、街は大変な事になっている。

 あの子たちもあんたに会いたがっているよ。

 あんたに助けてほしいんだよ。この街を。

 詳しい事は会ってから話すが、

 あいにく俺は土の中で眠っているんだ。

 なので、森についたら、

 バルタザールと言う男を訪ねてほしい。

 そして、俺を起こしてほしいんだ。

 そうすれば、俺はあんたに会える。

 見ず知らずのあんたにこんな事を頼むのもあれだが、

 街を救えるのはあんたしかいない。

 すまないが、宜しく頼む。」


そう言うと、彼は消えてしまいました。

そして、今まで見えていたものが消えてなくなり、

辺りは一面真っ暗になりました。

そこへ、船長の声が聞こえてきました。


「渦から抜けるぞ!しっかり掴まれ!」


その声から間もなくして、

一つの小さな光が見えてきました。

それは段々と大きくなり、

周りの景色が見えてきました。

そして、自分が船にいる事を実感しました。

次の瞬間、

船は先頭から空に向かってまっすぐ進み、

大きな水しぶきを上げて海原へと乗り出しました。


『いよーし!みんな無事だな!よく耐えた!』


そう言って船長は大きな笑い声を上げました。

そうです。船は時空渦を抜けて、

ハグルマビーチに帰ってきたのです。

しかし、喜んでる暇はありません。

ハリー君はみんなに、

さっき起こった出来事を話しました。

その話を聞いて、船長は言いました。


「そうか、かわいこちゃんに呼ばれたか。

 それなら着いたら俺たちの事は気にしないで行ってきな。

 もし困った事があったら俺たちに言いな。

 これも何かの縁なのかもしれんよ。」


そして、ニコルはこう言いました。


「あなたは優しいから、きっと力になれるはず。

 子供たちが戻ってきたら、

 一緒にプレゼント渡しに行きましょ。」


そう言うと、ニコルはにっこり笑いました。


そして船は止まる事なく、ゆっくりビーチへと向かいました。

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