雪に沈んだ街〜再会〜

 それからどれくらいの時間が経ったのか。

サーヤとアイリーンは雪で埋もれてしまった道を

何度も埋もれながら歩き続けて、

街へと下りてきました。

そして、エイミーの待つ時計台へと向かいました。

見ると、時計台の入り口で、

エイミーが二人を待っていました。


が、


なぜかエイミーは全く動きません。

それだけではありません。

辺りを見渡すと、街の人も全く動いていません。

更には時計台も動きが止まってしまっていました。

不思議に思った二人ですが、

街を見渡すと理由はすぐにわかりました。

なんと、街が凍り付いてしまったのです。

あの白い嵐は街を飲み込み、

一瞬で街を凍らせてしまったのです。


困ってしまった二人は、

あの、物知りおじいさんのもとを訪ねました。

しかし、おじいさんの姿は見当たりません。

仕方がないので、二人は教会の裏へ回り、

バルタザールのもとへ向かいました。

どうやら教会の裏は森の木たちに守られて

雪に埋もれる事はなかったようです。

二人はまっすぐ森を奥まで進むと、

バルタザールの住む小さな小屋へやってきました。

見ると明かりがついています。

二人で扉を開くと、

そこにはバルタザールとおじいさんがいました。


「二人とも、無事だったんだね。」


バルタザールは二人を温かく迎えてくれました。

おじいさんは何やら分厚い本を開いていました。

その本を見て、サーヤはおじいさんに聞きました。


「お友達がいなくなってしまったの。

 街のみんなも動かなくなっちゃったの。

 一体何が起こっているの?」


すると、おじいさんは静かに口を開きました。


「これはきっと、クリスタルマウンテンの呪いじゃ。

 流れ星たちの大移動の時に、北極星が山に降ってきて、

 山の封印が解けてしまったんじゃ。

 恐らく、子供たちはあの山にいる。

 しかし、我々ではどうにもできないんじゃ。

 あの山をもう一度封印して、

 子供たちや街の人たちを元に戻すには、

 勇敢な心を持った者の力が必要じゃ。」


その話を聞いていると、

サーヤはふと、ハリー君の事を思い出しました。

ハリー君はいつしか、街の人たちを助けるために、

時計台を元通りにしてくれた事がありました。


「ハリー君に会いたい。」


そう思うと、二人は小屋を飛び出して教会へと向かい、


「神様、どうかハリー君にもう一度会わせてください。」


と、一生懸命に祈るのでした。

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