航路~時空渦~

 一方その頃海を旅していたクルーズ船長の船は、

陸から遠く離れた海の真ん中に位置する場所にいました。

辺りはすっかり真っ暗になっていました。

やがて雲のかげから月が顔を出して、

辺りを優しく照らしてくれました。

すると、ルミナスとベリーが急にソワソワし始めました。

それを見た船長が言いました。


「時空渦が来るぞ。みんな、しっかり掴まっときな。」


そう言うと、船長は舵を逆回転させて、

後ろ向きに進むようにしました。

ニコルとハリー君は船長のそばにしっかり掴まっていました。

ふと空を見ると、星たちが一つずつ流れ始めて、

いつの間にかたくさんの星たちが流れていきました。


その時です。


今まで穏やかだった波が急に荒れ始め、

船の後方に大きな渦が出来始めました。

これが、三つの世界を繋ぐ道、時空渦です。

船は後ろ向きのまま渦へと引き込まれていきます。

もう流れに任せるしかありません。

そんな中、ルミナスとベリーは船の先頭にちょこんと座り、

「大丈夫。あたしたちがついてる。」

と言ってるかのように凛とした顔をしていました。

なるほどこの時空渦は彼女たちが呼び寄せたものだったのです。

船長にはそれがわかっていたのです。


そして船は段々渦の中心へと向かい、

いつしか船は見えなくなってしまいました。

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