流れ星たちの大移動〜異変〜

 それからしばらくしたある夜の事。

いつもよりも星たちがきれいに見える夜でした。

そこへいつものように子供たちが集まってきました。

子供たちはそれぞれの望遠鏡を覗き込んで、

様々な星たちが見えるのを楽しんでいました。


 そこへ、サーヤとアイリーンがやってきました。

二人はその日まで他の子たちとは遊ぶことなく、

いつものように時計台の手入れをしていたのですが、

「今夜は星がきれいに見えそうだから、行って見ておいで。」

とエイミーが二人を送り出してくれたのでした。

他の子供たちは二人との再会を喜んで、

色んなお話をしたり、望遠鏡を覗かせてくれたりしました。

サーヤが望遠鏡で北の空を見ていると、

一つだけ、不思議な光り方をする星を見つけました。

それは他の星たちに比べて小さく、

なぜか震えているように見えました。


その時でした。


どこからともなく流れ星が一つずつ現れて、

それは段々と数を増やしていって、

いつの間にか、まるで雨が降るように、

たくさんの星たちが流れていくのでした。

子供たちはその不思議な光景に見とれていましたが、

アイリーンはその流れ星に向かって手を合わせました。

そして、街のみんなの幸せを願うのでした。

すると、それに気がついた子たちが、

一人、また一人と手を合わせてお祈りをするのでした。

サーヤも北の空にいるその星に向かって手を合わし、

静かに目を閉じるのでした。

すると、その星は一瞬強く光ると、

まっすぐクリスタルマウンテンの方へ落ちていきました。

しばらくして、流れ星たちは一つ残らず消え去り、

少しの間静まり返っていましたが、

サーヤが目を開けて北の方を見ますと、

何やらクリスタルマウンテンの方から白い煙のようなものが

上がっている事に気がつきました。

その煙は段々こっちへ近づいてきます。

次の瞬間、

強い北からの風に乗って、

白くて冷たい煙が街を飲み込んでいきました。

そしてその煙は段々氷の結晶となって吹き荒び、

遂には街を白一色に染めてしまったのでした。

それは本当にあっという間の出来事でしたが、

子供たちは小高い丘の上にいて、

大きな木が子供たちを守ってくれたのでした。


子供たちは何が起こったのかさっぱりわからず、

ひとまずは家に帰ろうと支度を始めるのでした。

しかし、次の瞬間、

また、北の方から白い嵐のようなものが、

今度はサーヤたちのいる丘の方へ襲いかかってきました。

サーヤとアイリーンは大きな木の小さなくぼみに隠れて、

それが過ぎるのをただ震えながら待つ事しかできませんでした。

しばらくすると今度は風向きを変え、

白い嵐は北の方へ帰っていくのでした。

二人はお互い抱きしめ合いながら小さくなって、

過ぎ去るのをじっと耐えていました。

どれだけの時間が立ったのか。

気がつくと風はぴたっと止まっていました。

二人が辺りを見回すと、

子供たちが一人残らずいなくなっていました。

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