乳児がお昼寝中、幼児は自由に遊ぶ。

自分で言うのもアレだが、僕は園の子どもたちによく好かれた。0歳児には嫌われていたけど。きっとあの子たちには僕の腹黒さや愛想の良さなんてものはお見通しだったと思う。


そういうこともあり、よく幼児の先生が休憩の時は僕が代わりに幼児クラスに応援に入った。


ある日、僕はみんなとお相撲をとっていた。多分9人くらいはいたような気がする。

さすがに当時は肌も身体もぴちぴちだし、体のスタイルも当時から細かったけど、運動も筋トレもしていた僕が子どもに負けるはずはなかった。


そして、かけっこもドッジボールもまずは本気でやって子どもから尊敬を勝ち取り、その後はたまにわざと負けてみんなを盛り上げるのが僕のやり方だった。


その日のお相撲もそんな感じだった。

9人の子どもとの一斉に行われる相撲は、ぴちぴちの僕でもきつかった。

若すぎるパワーに押されつつ「そろそろ負けるか...」と思い力を抜いたその時、


どーーーーん!


とんでない衝撃がおきた。

今まで参加していなかったやんちゃな男の子が急にみんなと一緒に突っ込んできたのだ。

楽しそうに遊ぶ姿に混ざりたくなったのだろう。


見えざる伏兵の決死の突撃に、完全に油断していた僕は後ろに吹っ飛んだ。

10人の溢れるヤングエネルギーにはさすがのぴちぴちボディも耐えられなかった。


すべり台のすべる部分のカドに思いきり腰をうちつけた僕は悶絶。


それからしばらく経っても腰は痛いままだった。

痛すぎて階段も上れない。立ち上がるにも時間がかかり、走ることもできず、とてもきつい。

数日たっても痛みは変わらず、保育園も家の階段も這って上がる始末。

それから痛みがひくまで腰にコルセットを巻いて仕事をした。


それから定期的に腰が痛くなるようになった。今までの腰痛とはレベルが違う感じ。


保護者のおばあちゃんに相談したところ、おすすめの整体を教えてもらった。

その整体に行くと、初診と言うことでレントゲンを撮ったりなんやらと色々と検査をした。


その結果をみた先生が言った。

「これ、腰のね、小さい骨なんだけど、折れたか潰れたかで自然治癒した跡があるんだよね。心当たりある?」


折れてたんかい!!と思った。


それからしばらく整体に通うことになった。

腰痛は腹筋を鍛えるといいと先生に言われたので、筋トレをいつも以上にするようになった。

なぜかボクシングジムにも少し通った。


おかげで僕は今も細いけど、腹筋だけは割れている。でも腰はおじいちゃんだ。




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