第5話 彼女

ドゴォォォォォン


後ろを振り返ると後ろが崩れていた。


「なんでなんでなんで」


「や、やばくないですか?」


本当に地下水路を壊しに来たの?そんなことが?


「いや」


一つの考えがよぎる。


「ねぇ、この子達持って先に逃げて」


「…は? 」


「お願い、私の予想ではー」


もう一度後ろを見る。


そこには、人型サイズまで小さくなったあいつの姿があった。


「やっぱり」


「あ、あいつ…小さく…」


「お願い、逃げて」


「でも」


「このままだとみんな死ぬ。先に行って。あと私にはちゃんと作戦があるから。」


「作戦?」


「うん。任せて。これしかないんだ。早く逃げて」


「っ…、分かりました。でも、絶対成功させてくださいよ。」


「うん。」


少年が私からかごを受け取り駆けてゆく。


「さぁ」

やってやる。


あいつはこっちに来て殺すはず。


そのギリギリのタイミングでスモールライトを使い、水に流す。


これ以外は何も思いつかない。


「やってやる」


よく相手を見ろ、動きが速いんだから動き出した瞬間に放つ。いける。私なら行ける。


いつ動く、いつ動く、いつー


シュン ドンッ    プッ


気づけば私の胸にはあいつの手が刺さっていて、気付けば私の口からは血が吹き出ていた。


無理だ。圧倒的すぎる。私には絶対勝てない。


諦めてはいけません


誰だよ。見てないのかよ。最後の最後まで何もできなかったよ。


いいえ、できます


誰だよ。しねよ


できるんです。だってあなたはー
















女は人型兵器b−892の手が刺さったまま持ち上げられてぐったりしていた。


人型兵器は喜んでいるようにすら見えた。


満足した兵器は女を自分の手から抜こうとした。その時違和感がした。


抜けない。彼のシステムは混乱している。困りようが伝わってくるようだった。


彼はその手を無理にひこうとした。


その瞬間、彼の手は折れた。


そして空洞になるはずの彼女の胸はふさがっていた。彼のシステムは完全にエラーが起きた。 


そしてこれは危ないと恐怖を感じた。

彼は素早く下がった。

彼女はストンと落ち、立った。彼女は何もしてこない。


生命反応はしっかりある。


彼は彼の限界があるシステムを使って状況を再認識しようとしたときに、


彼女が目の前に来て、彼の胸に風穴を開けた。


彼は自分が殴られたこともわからず、認識できたことは先程の立場と今の立場が反転していることだった。 


彼は逃げようと背を向けた。


瞬間に上に蹴り上げられた。


もう彼はボロボロだった。しかしかろうじてまだ動いていた。


だがそれを彼女に悟られてしまった。


彼女は顔を蹴り飛ばした。




そしてそれを少年は見ていた。

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