第3話 音
僕は世界を救いたいです
「50年…50年だよ?」
少し苦笑いで答える。
「でももしかしたら僕の使命はこれだったんじゃないかって」
「適当言わないで!!」
「私は50年経ってもわからなかったんだよ…?何一つ…」
「でも…あなたは待ってたじゃないですか」
「…はぁ?」
「あなたは僕を見たときに泣いてくれました。もう一度世界を戻したいと心のなかで本当に思ってなかったんですか?」
「…うるさい」
「そのまま自分の気持ちに嘘ついていいんですか。変えなくちゃって思わ…」
「50年!!!!」
「何もわかんなかったんだよ?誰も頼れる人はいなかった。それでもできることを探した…でもできることすら見つからなかった…。私は何もできないの!生きることも死ぬことも何もできないただの弱い人なの!!!」
「でも!!!」
「あなたは僕を見たときに…泣いたんです。」
「…っ」
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「こっちに来て」
私が彼を誘う。
彼はもう泣いてしまっている。彼の手を取る。
「行くよ」
自分より年下の子に声を荒らげてしまった。
階段を降りる。
無言は続く。ただ彼の嗚咽が聞こえる。
「…ここ」
私にとっては見慣れた扉。
「…さっきさ家族も友達も死んじゃったって言ったじゃん?」
少年が私の顔を見上げる。
「あれ、嘘なんだ」
扉を開けるとそこには柵の中で眠っているみんなの姿があった。
「…!?」
びっくりしている。
「本当は私だって嫌だった。諦めたくなかった。だからもう私じゃ無理だってわかったとしてもみんなを見捨てられなかった。」
「…そうですか」
「ごめんね…さっきは」
「いえ、いいんです。何も考えなかった僕が…」
「一緒に世界救わない?」
「え?」
私がにっこり笑って言ってみる。
「あ…」
私が手を出す。
彼は戸惑う。でも彼は顔を上げる。そして手を…
ドゴァァァァァァァァン
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