第7話 私の大事な友人に一体何をしてくれる



 いやぁ、セシリア怒ってます。(笑)


 セシリアという人間は、結構心が広いです。

 もちろん外面もあるので反論を口にする事もありますが、その実あまり腹は立てていない……なんていう事がままあります。


 先にあった『生徒たちへの演説』も、どっちかというとそういう感じです。

 暴力の現場に居合わせた&余計な尻拭いをさせられる事にはちょっとイラッと来ていますが、実はそこまで怒ってはいない。

 彼女が怒るともっと怖いです。(第2,3部参照)



 彼女が何に怒るのかというと「自らの『貴族の義務』に障られた時」と「自らが大切にしている人に害がある時」の二つです。


 実はここまで

 ●「自らの『貴族の義務』に障られた時」として『対テレーサ』の騒動を

 ●「自らが大切にしている人に害がある時」として『対クラウン』『対アリティー』の騒動を


 それぞれ具体例として示してきた……つもりです。

 

 じゃぁ今回はどっちなのかというと、間違いなく後者でしょう。



 しかし考えてみてください。

 本来助けるべき立場の、味方であるべき立場の使用人が主人をむしろ貶めるような言動をする。

 しかもその貶められているのは彼女の、気の置けない友人です。

 そりゃぁ怒りもしますとも。



 

 因みにセシリア本当は、件のメイドには勿論怒りを覚えていますが、実はそれさえ飛び越えて「今回彼女の同行を許したテレーサの父、もとい彼女の実家「テンドレード侯爵家」にも激しく怒りを覚えています。



 第3部で出てきたテンドレード侯爵家の現当主・ノートン。


 彼に今回テレーサに同行する人間の最終決定権があった訳ですが、この人選一つで2年前(第3部時点)の彼の「家や派閥の為なら娘を人形扱い・駒扱いする」という精神は今でも変わっていない。

 プライドが高く「侯爵家に仕えている自分」が好きなこのメイドは、侯爵にとってさぞ御しやすいタイプの人間でしょう。


「コイツ、いざとなったら間接的にテレーサを制御できる体制を整えてやがる」


 ……という事が、今回の事でセシリアにはまるで手に取る様に分かってしまった訳です。


 

 それこそ「私の大切な友人を未だに駒扱いだと? コノヤロウ」です。

 怒って当たり前じゃぁ、馬鹿野郎ーっ!!!!




 ……さて。


 この設定は一応この時点では描写・説明を省いた(文章を没にした)のですが、せっかくなので裏話特典としてここでお披露目となりました。

 

 この設定は、今後の展開の一つの布石になってきます。

 そう、盛大なネタバレです。


 が、一体どこがネタバレでどんな展開が待っているのかについては、現時点では読者の皆様に丸投げしておきましょう。



 回答編を待て……! ―― coming soon.(映画の予告風。笑)



 ところで次回から本編は、ゼルゼン視点から見る「ざまぁ」展開へと移行します。

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