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試験というものは、順位だったり偏差値だったり、学生としての一種のステータスがつく。それはきっとどの学校であれ、変わらないものであるはずだ。


今回の学年末試験は、教科数13、それぞれ100点満点で総合得点1300点を競い合うものだ。俺は特筆するまでもなく、平均98点で総合1274点、学年1位である。しかし学年1位だからといって何か変わるわけでもなく、大半の生徒は首席に興味などさらさらないのである。進学校であるにも関わらず、だ。それはきっと「まだ一年生だから」と、甘えがでているだけだろう。


「また負けてました……。」


試験結果の詳細が書かれた紙を見せ合ったのだが、紙から目をあげるとそこにはガックリとした朱莉がいた。当たり前である。なぜならここは俺が住む家だからだ。……朱莉との同居が、俺の中で当たり前になってきていることに少し驚いた。


「……」


下手に何かを言って悲しませてもいけないと思い、静かにしていた。


彼女の得点は1272点。現代文の試験に出ていた漢字の書き取り問題で凡ミスしてしまったらしく、それ以外はほとんど同じような点数であったが彼女の苦手分野から出題された問題があったようで2点という差がついたらしい。


「過去最高得点だったのに……。」


夕食後の雑談は、泣きそうになっていた彼女を慰めるのに一時間使ってしまったのだった。







週末、朝ごはんを食べ終えてのんびりしていると、インターホンが鳴る。


「はい、北代です。」


『よっすーおふたりさーん☆』


ばっちーん、と音が鳴るようなウインクをカメラ越しにこちらにした男こそ、俺の休日をつぶしにかかる仇敵、一ノ瀬隼人だった。


一ノ瀬隼人と柊木美晴の襲来により、平和な時間は2時間と持たずに崩れ去った。





「え、冬樹おま、え?まだ、ガラケー?」


取り敢えず家に通した二人は、俺とLINEの交換をしにきたと言い、ついでに朱莉ともするらしい。そしてスマホなるものを取り出した二人に、俺はまだガラケーであることを伝えたのだった。


「連絡を取るような相手も数えられる程度しかいないしな。」


「嘘だろおま……え?嘘と言ってくれよ。」


「いや、冬樹くんの事だから本当ね、これは。」


はあ、とため息をつく美晴と隼人。朱莉は毎日一緒にいるので連絡先交換の必要性はあまりないからか、たった今俺がスマホではなくガラケーで電話していたことに気がついた様子。


「冬樹ぃ、もうスマホ買いに行こーぜー?便利だぞー、いちいちパソコン開いて調べ物したりする必要もないし、課題だけに時間を割く必要もなくなるぞ?」


「別に俺は調べ物なんてしないが、メールでやりとりというのもしづらいのは確かだ。」


だが、全く壊れていないし買い換える必要性を感じないのだ。


「お前、ガラケー使ってる高校生なんて絶滅したぞ?」


「それなら俺は最後の一人ということになるな。つまり生き永らえないといけないな。だから俺はガラケーでいいと思う。」


「冬樹くんが屁理屈を捏ねてます……。」


どうも朱莉は隼人たちの味方のようだ。


「ふふふ、冬樹くんや。観念してスマホデビューなさいな。」


お前誰だと言いたくなる口調でこちらに迫って来る隼人。俺はここで最後の抵抗を見せた。


「だが、叔父に許可をもらってからだ。通信料は叔父が払ってくれているからな。」


「むむ、確かにそこは難関だな……。」


そして俺は携帯ガラケーで電話を入れる。


『お?冬樹か?どうした?』


「叔父上、その、携帯の件ですが。」


俺はもうどうにでなれと話を始める。


『ああ、そろそろスマホにしたくなったかぁ。』


話し始めるとすぐにそう言って、


『いくらでも金は出すからな、見繕ってもらえ。』


「は、はあ。分かりました。」


なんだかもう、分からない。俺達は携帯電話ショップへ向かうことになる。






「お?これなんかどうだ?」


「いいえ、冬樹君ならこれが似合うと思うわ。」


「こ、これなんかどうですか、冬樹くん?」


三人いっぺんに来るものだから、返答にも困る。


「別にスマホならなんだって……。」


俺はこの言葉を発したことを後悔する。


「冬樹、これは一つの大切な買い物だぞ?適当に選んでいいもんじゃねーんだ。」


「そうですよ、冬樹君は財閥の令息、ショボいのなんか持ってたら嘲笑われること間違いないわよ。」


「お2人の言う通りです。初めてがどれだけ大切か、考えてください。」


三人からの糾弾の嵐を浴びたのだ。




誰か、助けてくれ……。


そう思っていると。


「何かお困りですか?」


救世主、営業スマイル店員さんが登場した。……あれ、どこかで聞いたことある声だな。そう思って振り返ると、そこには。


「あれ?しょうね……ゴホン。冬樹君じゃん。」


そう、彼女は、何を隠そうスーパーのレジ係こと横川奏さんである。





——後書き——

頭痛すぎて昨日は書けませんでしたが、今日はだいぶ良くなって来たので書きました。


こんな三文小説しか書けない奴が休むとか……ありえませんねほんとごめんなさい。


とまあ、昨日は投稿できなかったわけですが。今日はきちんと(?)投稿できたので、明日も投稿するつもりでさっさと寝たいと思います。


できたら☆とかで評価してくれたり、応援してくれるとありがたいです。一個でも有れば、多分良くなってからすごく頑張ります。

※確約ではありません。


では、また明日。

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