06
「冬樹って弁当見ててもそうだけど、料理上手いんだな。」
黙々と食事が続く中、一番に口を開いたのは隼人。
「ああ、新堂よりマシだ。」
「ちょっと!冬樹くん!」
「あれれ?名前呼びかい?」
「あっ、そ、それは……。」
「……。」
俺と新堂が話をしている間に隼人と柊木は入り込んでくる。いつもならここで柊が止めに入るのだが、今日は俺の作ったハンバーグに五感全てが集中しているようで、止めに入ることがない。その結果隼人は俺たちの関係についての質問を繰り返すことになる。
「体の方は?」「付き合ってるの?」「いつから同棲してるの?」
質問の順序が逆な気がする。初めに体の関係を聞くとは、相当な馬鹿なのだろうか。最後の方は割と真面目な質問だったため見逃してやったが、最初の方の質問だけだったら間違いなく拳を上げていたような気がする。
「ちょっとすまんな、俺たちだけで話をさせてくれや。君に内緒で聞きたいこともあるんやで。」
意味のわからない口調の隼人。俺は少し考えてこう言った。
「家主、ではないが元々住んでいた奴を追い出すのか....?まあ少しなら。自室にいるんで終わったら声をかけてくれ、洗い物をしないといけないから。」
「おうともさ。」
俺は炬燵から抜け出し、まだ少し寒い自室で今日の授業の復習をすることにした。そういえば今日久しぶりに炬燵を引っ張り出したが、なぜ今なんだって顔してたか、新堂。
実際俺がこたつを出すのが遅かったというのは認めよう、だがかなり忙しいのだ。炬燵のセッティングの前に炬燵で使う布団の洗濯をしないといけないし、11月あたりから出すと十二月や一月の寒さに耐えられなくなるしと、とても大変なのだ。が、新堂が寒がっているのが見られたので今日の朝に布団を干していたのだ。
1時間もした頃、顔を真っ赤にした新堂が俺を呼びに来た。一体何をどう言われたのやら。
「今日はご馳走様。また来たいけど、いいのかな?」
「このことをバラさなければ時々遊びに来るくらいは許す。てことで、くれぐれも頼んだぞ。」
「おうよ。また来るぜー。」
「冬樹くん、料理を私に教えられる機会があれば、教えてね。」
「……まあ、暇ならな。」
良かったな隼人。彼女の飯がもっと美味くなるぞ。
「そろそろクリスマスですね。」
「そうだな。」
隼人達の襲撃から一週間。今は十二月二十日。
三週間目に突入する同棲。俺はクリスマスプレゼントを新堂に送るべきか迷っている。
冬樹くんのために今、ぬいぐるみを買いました。彼の部屋、とても殺風景で、何か置いてあげないと楽しくならないと思ったんです。もしかしたら壁を作っていた理由も教えてくれるかもしれません。北代の叔父様は冬樹くんから聞いてくれと話してくれませんし、本人に聞くしかないのです。
帰り際、私が寄りたいところがあると言ったら、遅くならないよう注意こそされましたが、それ以外では特に何もなく。彼の為に買った、綺麗な包装紙に包まれた状態のくまのぬいぐるみを、私は大切にかばんにしまいます。
帰宅……ではないのかもしれませんが、帰ってきた私はプレゼントを押入れに入れ込みます。……客間に押し入れがあるんですね……。まあそれはいいとして。冬樹くんは、私の部屋には掃除しに入ってこないので、プレゼントは隠しやすいのです。まあ、自分で掃除をすることになっていますけど。
さて、今日のご飯は鯖の味噌煮。最近脂っこいものを食べていたので、少しヘルシーなものが出てきて一安心です。
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