第11話 Roster and Swap
僕たちは先輩の家の下にあるスリーシックスティというスーパーに行く以外は一日中家にいた。こんなに先輩が絶倫だったなんて初めて知った。朝から映画を観ていて少しでもエロいシーンが出てくればキスされ試合開始、スリーシックスティから帰るエレベーターの中で急に触られ部屋に着くなり試合開始、夕飯を豚カツにしようとキャベツを千切りをしてたら後ろから抱きしめられ試合開始……こんなに試合をしていたら身が持たないのでケツは使わなかったが先輩のためならと僕は色々と頑張った。
豚カツを揚げるジューという音は本当に食欲をそそられる。揚がったカツを切りながら、一切れならと思ったけど我慢した。先輩も「まだか?」って言いながら子供の様に僕の手料理を待ってくれているのだから。
「うめーよ。ちゃんと中まで火、通ってるしさ」
「でしょ?」
僕は誇らしげに眉毛を動かした。
「ってか、一樹。お前来月の五日から九日の間に、羽田便入ってないか? その日、お前の航空会社使って東京に出張なんだよ」
「あっ。そういえば今日来月のロスターの発表の日だった。待って。今見てみる」
この日は月に一度、大半のクルーが携帯に集中し、フライト交換してくれというメッセージを送り合う日だ。僕は先輩といる時間が嬉し過ぎて、昨日からずっとほったらかしにしていた携帯をカバンの中から出した。百件以上メッセージが届いてる。取り敢えず、僕は会社のサイトにログインし、ロスターを確認した。
「キックス、アムス、台北、ロンドンにジャカルタの日帰り。うわ〜ジャカルタの日帰りとか……」
「で、六日と九日は?」
「あ、Gとアムスだ」
「Gとアムス?」
「Gは休みでアムスはアムステルダム。オランダ」
「じゃあ無理か、またお前の制服姿拝むの」
アムス……アローワンスという現地でもらえるお小遣いもいいので自分も含め、飛びたいクルーは山程いるが、先輩の願いを叶えてあげたいという想いの方が勝った。
僕たちは食事を終え、少し残念がる先輩の顔に後をひかれながら明日のLA便の準備もあったため、先輩の家を後にした。僕は帰る途中、会社のサイトのスワップボードやらワッツアップのスワップグループを見ながらHNDという文字を探したが、なかった。
自分の家に着き、もう一度会社のスワップボードを確認するとそこに奇跡的にHNDという文字を見つけた。七日の夜十時ごろに羽田に到着し、九日の朝に羽田を出発するという日にちもドンピシャだ。このフライトをこの掲示板に載せているクルーの名前を確認したら、同じ時期に入社し、一緒にトレーニングをした小木芽衣子だった。
早速すぐに芽衣子に連絡し、スワップのオッケーをもらい申請をした。数日後、LAで僕たちは無事に、芽衣子は僕のアムスを僕は芽衣子の羽田を交換出来たことを確認した。
そのことを先輩に電話で伝えると子供がサンタクロースからプレゼントを貰ったかのように「よっしゃ〜」と喜んでくれた。
「じゃあ七日、そのまま俺のホテルに来いよ。制服で犯してやるからな」とだけ言われて切られた。
先輩、僕にぞっこんだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます