ある元気な侍女の思い(三章時)
私、エマは十二歳のころからアマリア様に仕えているメイドです。
うちは貧乏だったもので、弟たちを助けるためにほとんど売られるような形で雇われたんですけどね……。
最初は下級メイドとして屋敷の掃除が主な仕事だったんですけど、お嬢様が浮気おと……ごほん、ウィリアム様と婚約した時に専属メイドになりました。
その頃は仕事もうまくできなくて、よくオリビア様の癇癪をぶつけられたりもしました。子供の癇癪というのは本当に遠慮がなくて、茶器をぶつけられたときは本当に死ぬかと思いましたね。
奥様も使用人を大事にするタイプではなかったので、見て見ぬふりところか機嫌悪い時は一緒になって責められました。旦那様も屋敷にほとんどいつかないですし、一度爆発したら終わるまで耐えるしかないのです。
そんな最悪の労働環境ですが、アマリア様は私たちの唯一の希望でした。怪我を手当てしてくださるだけではなく、癇癪の場に居合わせたときは矛先を反らしてくださりました。そうしたら、自分が責められると分かっていたのに。
最初、オリビア様と同じだと思って怯えていた自分が恥ずかしいです。もちろん、今ではアマリア様が伯爵位を継ぐまでの我慢だと奥様方の暴挙を我慢している人もいるくらいですよ!
だから、アマリア様の専属メイドになれたのはとても嬉しかったのです。働きを評価されたわけじゃなくて、年が近いからという理由で選ばれたんですが……本当は人手不足だったのは私だけの秘密です。
そもそも伯爵家は使用人の入れ替わりが激しかったので、私みたいに事情がある人しか残らないんですよね。経験がある方は奥様やオリビア様に取られてしまいますし、本当にアマリア様は不憫な方です。
(でも!公爵様のおかげでアマリア様は毎日幸せそうです!)
悩ましきはあのバカ男でしたが、無事縁を切れてよかったです。私ではどうしようもなかったので、本当に公爵様に感謝ですね。
理不尽を押し付けられることがなくなって、人の顔色をうかがうこともなくなりました。少しづつですが、自分の気持ちを表に出すようにもなって、ずっとアマリア様を見守っていた身としては嬉しい変化です。
だいたい、アマリア様にはもっと素晴らしい相手が相応しいと思うのです。例えば公爵様のような。アマリア様は善意で助けてくれたと思っているようですが、私は絶対にそれ以上の何かがあると踏んでいます!
だって公爵様がアマリア様を見るあの目!何とも思っていない相手には絶対にできませんよっ!
……まあ、メイドにすぎない私にできることはアマリア様をもっと美しくすることだけですが。変なことを言えないのがもどかしいです。
「よし!今日もアマリア様を健康にするために頑張りますよ!」
このまま何事もなく伯爵家とお別れできるの良いのですが……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます