頑張ること、第4章第4話
この夕焼けに照らされた綺麗な横顔、周りの人を惹きつける力、俺はこんな人を今まで見たことない、そうかこれが好きか、この人の傍にずっと居たい。
桜「もうこんな時間になっちゃったね」
健太「だね、あっという間だったよ。」
桜「良かったら今週の土日でさ、サリー君と一緒に勉強会どうかな?」
健太「お、マジで勿論、俺は行くよ!!」
桜「やった、」
健太「じゃあ、彩美も直人も誘っていいかな?」
桜「直人君か・・」
健太「実は直人、桜の為にさ・・」
俺は直人が桜の為にお菓子を買っていたことを伝えた。
桜「え、私の為に、そんな」
健太「直人は素直じゃないだけでさ、きっと今頃後悔してると思う、さっき話した通り直人は俺より勇気がある奴だから」
桜「素敵だね、三人共」
その言葉はどこか寂しさがあった。
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スーパー行ってから意外と時間が掛かってもう夕焼けが見えていた。
スーパーに出て、お互いの帰り道に別れようとした。
直人「じゃあ、またな彩美、今日は助かった、誰よりも輝いてるぜぇ」
彩美「待って!」
少し距離が離れた所で彩美が俺を引き留めた。
直人「どうした彩美、もしかして俺なんかやっちまったか?」
彩美が近づいて来る、もう俺の目の前にやってきた、とても神々しかった。
彩美「今日は直人を家まで送るよ」
直人「え、やめろよ、俺ガキじゃねえんだし」
彩美「今日はそういう気分なの」
珍しく彩美が今日はやけに俺に色々優しかった、まるで健太みたいな目で俺をずっと見てくれた、なんだか嬉しかった。
直人「まあ分かったぜ、行こう」
俺はこの時、頬が熱かった、やべえガチ照れしちゃってる。
彩美「うん!」
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私は今こうして直人と歩いてる、分かってる本当は、どんなに直人と一緒に歩いても本当の寂しさは消えないこと、健太は桜のことしか見ていないんだって、私のこと好きじゃないんだって、ごめん直人、寂しさを埋めさせて。
直人「なあ、彩美はこれから先どうなると思う?」
彩美「え?」
直人「あ、悪い、いやまだ親と揉めたままでさ」
彩美「そっか、けど直人ならどうにかなるよ、どんなことがあっても」
直人「そうか、彩美が言うならそうだよな!」
直人は明るい、けど底抜けの明るさなら健太なのかな、私って二人に比べると何もないな、なんだか私だけ成長してないみたい
ピポン
直人「お、グループチャットからなんか来てる」
彩美「え、本当?」
私は直人がそう言うので携帯を取り出し、チャットを確認した。
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グループチャット
桜☆「今度私の家でサリー君の歓迎を込めた勉強会どうですか?」
あやみ「オッケー、行く行く!」
ケンタ「俺も参加する」
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直人「おい、マジかこれどうしよう・・」
直人が軽く焦ってる、汗が額の外から流れているのが私には見えた。
彩美「何言ってんの、直人も行くよ」
一呼吸置いてから、直人は空を見上げた。
直人「まあ、そうだよな」
なんだか男らしかった。
彩美「よし分かったらさっさと連絡!」
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グループチャット
桜☆「今度私の家でサリー君の歓迎を込めた勉強会どうですか?」
あやみ「オッケー、行く行く!」
ケンタ「俺も参加する」
ナオト「俺も行っていいかな?申し訳ないことしたのは分かってるけど、どうしても
一言、言いたくて」
桜☆「勿論来て!」
ケンタ「お前が来なけりゃ意味がないだろ(笑)」
ナオト「みんな、ありがとう」
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みんな温かった、ディスプレイ越しだけど、スマホじゃなくて気持ちが熱くなった。
彩美「良かったね!」
彩美の一言、一言が俺の心の傍にあるおかげで、周りそのものが全て綺麗に見える、
直人「うん、彩美のおかげだよ」
彩美「えへへ、ありがとう」
一つ、一つの笑顔が俺の心を溶かす、いつの間にか彩美が好きになっていた。きっかけは分からない、けどそれが恋ってやつなのかもしれない。俺って幸せだ
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気づけばもう、俺は家のすぐ前に居た
彩美「じゃあここまでだね」
直人「だな、なんだか今日一日ありがとな」
彩美「もう二度とこんなことしないこと、いいね」
直人「うん、気を付ける!」
彩美「またね!」
直人「ああ、また!」
俺と彩美はハイタッチを交わして別れたそして俺は玄関の扉を開けた、家に入る瞬間、空気そのものが変わった。
直人「ただいま」
家に居る母さんは無反応だ、そうあの日、喧嘩してから母は無口になった。だがそんなこと悠長に気にしてる時間は、この時の俺は別のことを考えていた為、俺は足早に自室に戻った。この時、家族と向き合うことを頑張ればきっと・・
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桜「今日は色々ありがとう!」
健太「こっちこそ、めちゃめちゃ楽しかった」
桜「じゃあまた明日金曜日!」
健太「また!」
夕日が落ちて日が暗くなっている、あれこれまた今日晩御飯抜きじゃないか・・そう思いながら桜と別れたあと、一人でとぼとぼ帰った。勿論予想通り
母「あんた、また何やってんの!!」
と玄関の所で怒られている、もの凄い形相だ
母「また今日晩飯抜きだから!しっかり反省しなさい!」
健太「はい、ごめんなさい。」
俺は軽く落ち込みながら自分の部屋に向かった。なんだか少し理不尽じゃないかと思うが、俺が悪いので何も言えず、なんだか大変なことばかりだなと内心苦笑した。
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直人「ああ、これも違う」
俺はそう言いながら書いていた
なんでこんなことしてんだろう、ぶっちゃけ俺は文字を書くのがすきじゃない、ましては国語は苦手だ、なのに
直人「ああ、チクショー!」
もう俺の部屋はテーブル以外、紙が散らばっている、汚い字で見るに堪えないだろう。
直人「ハぁ」
俺は溜息をついた、ネットで相手を誠心誠意伝える為にはどうすればいいか調べてたら、手紙を書くのが効果的と書かれていたため、それを真に受けて、今実践しているが、俺はあまり手紙を書かない、だから今すぐ辞めてしまおうと思う時
直人「やっぱりダメだよな・」
俺は自分のアルバムに写っていた、彩美と俺と健太の入学式の写真を取り出し、こうして見つめている。
直人「どうしてそんなに綺麗なんだよ、彩美」
彩美の笑顔がまるで泣いてる赤子のように、俺の心に訴えかけてくる。直人ならできるってそう言いかけてる気がする。
直人「よし、頑張るか、」
俺はそう呟き、紙を机に置いて、お気に入りのシャープペンシルを手に取り、また書き始める、
高山桜へ
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私は今日布団に潜り込んで、ずっと罪悪感に苛まれている。親にも言えず、今日は夕飯を食べてない。
彩美「ごめんね、健太」
私は健太に振り向いて欲しかった。けど健太はきっと桜が好き、だから直人に私の心を埋めようって思った、その方が楽だった、けどそれじゃ
彩美「幸せにんれない」
独り言の中で上手く呂律が回らない、顔がひたひたと濡れているのを感じる、私はちゃんと風呂上り、水滴残らず拭いたのに。
私はずっと健太が好き、そう簡単に諦め切れるものではない、健太は何時でも私の傍に居てくれた、直人とは違う、受け止めてくれるオーラというか、やはり私にとって特別な人なのだ。
彩美「後悔したくない、だって好きだから」
明日は金曜、どうしよう、直人にも申し訳が立たないし、好きと友達が混ざってもう、この想いの行き場は何処に
健太「彩美、大丈夫だよ!」
そっと優しい声が聞こえる、
彩美「健太?」
勿論、この場に居るのは私だけ、そう幻聴、けどその幻聴が私の心の支えになっている。何だか元気が湧いてきた、
彩美「うん、大丈夫!」
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口の中でとろけるチョコレート、ほんの苦さが私にした過ちを教えてくれる、直人君に酷いことをしたことを、
サリー「パクパク」
サリー君が元気にクッキーを頬張って食べている、全くどうしてリスみたいな食べ方になるのか、可愛いって思えてしまう、お互いソファーで寝っ転がりながら、これでもかというくらい、くつろいでいる。
翁執事「こほん、あまり行儀がよろしくないですよ、お嬢様」
桜「あわわ、ごめんなさい!」
軽く咳払いをしたじっちゃんに怒られちゃった、私は慌てて姿勢正しく、床に足を着け、正に行儀よくを体で表した姿勢にした。
サリー「ほごほご」
サリー君も私を見習ったのか、口の中でお菓子を詰め込みながら、私と同じ姿勢になった、おかげで口の周りには、クッキーの粉がいっぱいで軽いお髭が出来ている。
翁執事「なんだか微笑ましいですな、二人共」
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今俺はリビングでいつもは見ないバラエティー番組を見ている、そう今日はSPARK特集で、なんと、星渡優志が出ているのである。しかも生放送!
健太「楽しみだな」
司会者「ええ~、なんと今日は今、宇宙船騒動で話題になっている、あの方が登場です!」
星渡「どうも星渡優志です、今日はよろしくお願いします!」
一斉に歓声と拍手がテレビの音声で鳴り響く、まるでアイドル顔負けの人気っぷりだ。
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お笑い芸人「やはり、宇宙船で確定なんですか?」
星渡「ええ、ほぼ確定といっていいと思います。」
スタジオの皆「おおおおおおおお」
やはり会場は湧き上がるだろう、
星渡「全てが未知の物質でして、火星でも月でも冥王星でもなく、調べられる限りは尽くしましたがやはり、私たちが確認できていない物質なのは間違いありません。」
司会者「さあ盛り上がっている所すみませんが、星渡さんを知ろうという企画があります、題して、星渡優志の10の質問!!」
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そこからは、星渡さんの質問タイムが始まった、朝はパン派、ごはん派?
好きなお菓子は?、好きなタイプは?等々、だがぶっちゃけ全て核心を突くような答えではなく、全てうまくかわしたなと思う答えばかりだった。
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司会者「いやはやありがとうございました、中々出てきませんでしたね~、それでは次このコーナーに行きたいと思います。」
星渡「はい、私が歩んできたこれまでの半生!」
そこからVTRが流れた
それは大学での恋人ととの辛い別れ、自分の夢を再発見し、家族を捨て、自分の信じた道を進み、今こうやって、日本支部の所長として過ごしているとのことだった。短期留学している頃の写真はちょっと反則級にかっこよかった。
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司会者「いや~本当に星渡さん、お忙しい中ありがとうございました!」
星渡「はい、こちらこそありがとうございました!とても楽しかったです。皆さんSPARKに興味を持ってくれたら幸いです!」
司会者「それでは皆さんありがとうございました!」
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健太「マジか・・」
いや面白かった、ぶっちゃけ星渡さんタレントでいいんじゃないかっていうくらいもう芸能人って感じだった。SPARKは今、表向き宇宙船の研究中となっている、だがあの時俺らは宇宙船を透明にして、別の場所に移動した、その場所がどこにあるか正確に分かるのはサリー君だけ、このまま不可思議現象で終わらせるのだろうか、疑問は残るばかりだ。
健太「ってやべぇ」
もう時刻は23時を下回っていた、まだ学校の準備もしてない、母さんはもう姿がない、とっくに寝たのだろう。
俺は今日立派に夜更かしした
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翁執事「サリー様こちらへ」
なんて言ってるか分からないけど、手を振ってくれていたので、僕はあの女の子の執事についてった、階段を上り、そこには何かの文字で書かれた手提げの看板がぶら下がっていた。
翁執事「ここがサリー様のお部屋です、昨晩はソファで一夜を過ごしてたでしょう。さあこちらへ」
何かを説明してくれたあと、扉を開けてくれた。
サリー「うわぁ~」
そこには僕専用のお部屋、ベットにテレビに、なにかのゲーム機だろうか、ハナちゃんとの思い出の品はないけども、それでも僕が過ごしていた宮殿の部屋と遜色ない、昔を思い出す部屋だった。とは言っても一か月も経ってないかな。
翁執事「これからはこの部屋でお過ごしください。」
僕は精一杯、お辞儀をした、感謝を表すにはこれくらいしかできなかった。
翁執事「はっはっは、なんとも良い子に育ってますね、王子様というのはそういうものなのでしょうか」
おじいさんは、いや女の子の執事はずっと笑っている、僕の執事もそうだった。もっと若かったけど、どこか似ている。
翁執事「それではこちらの部屋でお休みください、おやすみなさい」
深く一礼したあと、おじいさんは部屋から出て行った。
サリー「しゃあ!」
僕は迷わずベットにダイブした。フカフカで気持ち良かった。
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サリー様に部屋を案内したあと、私はいつもの見回りを行った、綺麗な夜空の月の光が指す、そして庭の手入れと散策を行おうとしたとき、
サリー「うん、あれは?」
廊下の窓を見てみると、そこにはお嬢様らしき影が
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翁執事「もう夜分遅いですよ、お嬢様、どうかされましたか?」
桜「じっちゃん、眠れなくて」
翁執事「そうですか、今日は夜景が綺麗です。」
緑の芝生に見上げると綺麗な夜空、天体観測には持ってこいの場所でしょう、ここでの空気はとても美味しい。ドカンと構える高山邸はとてもアラビアンナイトに出てきそうな、まるでここが日本じゃないような、そんな雰囲気を醸し出している。
桜「じっちゃんはここで見たの、あの曲線?」
翁執事「ええ、見ました、人によっては黄色や紫に見えるそうですね」
桜「どんな感じだったの、生で見るには」
翁執事「私には虹に見えました、夜に映る不自然な程に綺麗な虹に」
あの時の私は庭の手入れをしていました。突然台風が来たような衝撃を覚えた、ただ何も起こっておらず、上を見ると、オーロラというには違う、ただ明らかに私を覆いそうな晴天のような虹が、それに私は怖さと感動を同時に味わいました。
そしてすぐ次の日すぐにネットやテレビで話題になり、とんでもない騒ぎになっている、未だに裏山には出入りすることが禁止になっている。私が生きている中で新しいことばかり起こっている、これは良いことなのだろうか・・
桜「そうなんだ、なんだか羨ましいなぁ」
翁執事「まあ、それがまさかサリー様を乗せた宇宙船だとは
思いもしませんでした」
桜「私ね、なんだかみんな凄いなって 私 はっきり言って自分が一番輝いてると思ってた。けど私よりも輝いてる人がいっぱい居るって。」
翁執事「はい」
桜「私、誰よりも輝きたい!それでもっと人を輝かせたい、そう思ったら眠れなくて」
翁執事「なれますよ、ただ眩しすぎて直視できないようじゃ困りますけどね笑」
桜「もう何それ笑、どういうことなのか分からないな~」
パジャマ姿ではしゃぐお嬢様、なんとも愛おしい、孫を持つとこんな風に思ったりするんでしょうか
翁執事「さあもっと輝くためにも今寝て明日元気な姿を見せないといけませんよ」
桜「それもそうか、じゃ私寝るね!、お休みじっちゃん!」
翁執事「おやすみなさい。」
走って自分の部屋に戻っていく姿はまるでドラマの主人公ですな、お嬢様。
あの虹が今の私たちを繋いでるんだとして、この素敵な日々がどれだけ続くんでしょう。今日も三日月が綺麗です。
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