頑張ること、第4章第3話
俺は今日、高山に文句をいや、自分の思ったことをぶちまけてしまい、傷つけてしまった。そして俺はなんだか、高山と一緒の空間に居るのが嫌になっちまって、ずっと男子トイレの洗面所で鏡と睨めっこして、仕方なく、自分の教室に戻って帰ろうとすると、そこには彩美が居た。
その彩美の顔が俺には天使だった。俺はもしかしなくても高山と友達な彩美を、彩美の友達を傷つけてしまった。ただ、彩美の輝きは俺の心を溶かし、浮かれてしまって今
彩美「直人、なんでトイレに引きこもってたの?もしかして、菓子の食べ過ぎ?笑」
こうやって一緒に帰っている、彩美の声はとても俺の声を落ち着かせる、今健太は誰と居るんだろうか。
直人「そんな食べてないぜ、最近は色んな事が起こりぱなっしでさ」
彩美「確かにそうだね、何だか健太に置いてかれた気分」
直人「俺もだ、あいつだけどんどん離れてく・・」
健太はもしかしたら俺らの手の届かない所まで、大きくなっているのかもしれない、同い年なのに、幼馴染なのに
彩美「今日何があったの?」
直人「・・実は、ごめんなさい」
俺は頭を下げた、本来頭を下げる相手は高山なのに、どうして俺はあの時よく考えずにあんなことを・・
凄い怒られるだろうなって思った、下手したら嫌われるんじゃないか、そう思ったら、涙がこみ上げてきた。俺まだずっと彩美と一緒に居たいのに、頭を上げられそうにない・・
彩美「よしよし」
直人「え?」
俺は優しい声と同時に頭を愛犬みたいに撫でられた、とても温かい、その小さな手に色んな思いがあるだろうに。彩美はずっとそうだ、俺が泣くとき、彩美は泣いてない、俺と健太を見守っていた。
彩美「顔を上げて、直人、私なら大丈夫だから」
彩美がそう言ったので、俺は顔を上げた、酷い泣き面だったと思う。
彩美の顔は心配しているがどこか包んでくれそうな雰囲気が流れていた。
直人「じ、実は俺とても酷いことしたんだ・・・
俺は今日あったこと全部話した、高山のこと、いじけてる自分の事、全部、全部。
彩美「そっか、いつもなら鉄拳制裁百ビンタだけど、それどころじゃないね・・」
直人「・・」
彩美「まだ、謝ってないでしょ?」
直人「うん!!!」
彩美「じゃあ、私と一緒に謝りに行こ!」
彩美、ダメだよ、彩美が言ったその一言がとても辛い、どうしてこんなに優しいの、どうしてそんなに輝けるんだ、ダメだここは
直人「いや俺はちゃんとけじめをつけたい、自分で、ごめん彩美」
彩美「そっか、いいよ」
彩美は笑っていた、ちょっと涙目になるのが俺には見えた、俺は彩美を悲しませてしまったのか。俺はこれ以上彩美の悲しむ顔を見たくない。
彩美「直人も大きくなったよ、いや初めから私達より大きかったか」
直人「大きかった?」
彩美「なんでもない」
直人「ええ~、なんだよそれ」
彩美「内緒。」
小悪魔な顔でそう言った彩美は愛おしかった。
彩美「なら一緒にスーパー行かない?」
直人「へ、スーパー?」
急にスーパーなんてどっこから出てきたのだろうか?やっぱりお腹すいたのかな?
彩美「今日テレビでやっててね、今大特価セール中なんだって、期間限定で。」
直人「いや、うん・・え、どいうこと?」
彩美「私も菓子買いたい!」
直人「いや菓子俺買ってるし、」
彩美「私も買いたいの、だってなんだか仲間はずれな気がして・・」
なんてことだ、彩美から一緒にスーパー行くなんて想像もしてなかったぞ、まあ彩美悲しませたくないしな・・
直人「分かった、じゃあ一緒にスーパー行こう」
彩美「やったー、じゃそいうわけで今からレッツゴー!」
そんなこんなで図らずもデートになってしまったな、いやまあ一緒に菓子を買うだけなのだが、俺達二人は睦まじくというかなんというか、この寄り道に心を躍らせた。
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桜「そっか、なんだか益々分からなくなっちゃったな、なんで嫉妬してるのか・・」
俺は昔あった、どうして俺達は幼馴染みになったのか、彩美と直人のことを話した。
健太「きっとあいつは桜が羨ましく見えたんだよ、桜は周りの人からよく憧れの的になるし、そしてこれと言った欠点がないからさ」
桜「私ってそうなの?」
健太「うん、皆桜に憧れてる部分あると思う、俺がそうだし、なにより必ず周りに人がいるじゃない、みんなそうやって桜みたいに生きてくって難しいことなんだと思う。」
桜「そっか、じっちゃんのおかげかな」
桜は少し俯いた、自分がどう見えてるのかは人に聞いた方がよく分かるかもしれない、いい意味でも、悪い意味でも。。
健太「まあ、直人は素直になれない所があるし、桜とはきっと向こう側な気がする。」
桜「向こう側?」
健太「うん、桜は素直で自分の意思があって、反対な訳じゃない、似てるところもあるけど、似てるんじゃなくて‘向こう側‘だから直人は嫉妬してるんじゃないかな?」
桜「ど、どいうこと?」
桜は少し困惑した、俺の説明が下手だった、、
健太「つまり頑張って超えるべき存在ってことだよ」
桜は少し照れていたのかほっぺたが少し赤くなっていた。
桜「なんだか、照れるな」
まあ本当は彩美が振り向いてくれなくなったからなんだろうけど、それを伝えちゃ油に火を注ぐ感じになっちゃうだろうし、これでいいだろう多分。
桜「私ね、ただイライラを直人君にぶつけてただけかも、いや勿論直人君がちょっと嫌っていうのもあったけどね。」
健太「イライラか、」
桜「私ね・・」
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私は学校が終わって家に帰り、支度を済ませた。中学生らしい普通の可愛い服装に、軽いメイクを済ませ、じっちゃんが運転する車に乗り込んだ。
翁執事「ついに今日ですね・・」
じっちゃんが隣でいう、この時の為に自分の部屋に籠っては歌い、友達と遊ぶことなんてせず、歌うことに全てを捧げた。
桜「うん、行こう」
私は隣の市にある小さな事務所に向かった。私がインターネットで歌手のオーディションを探していた時、つい先月できたばかりの スタートライン という事務所がオーディションを募集していた。小さいということもあって募集人数は4人程度と少なく、夢に向かって私はすぐ応募した。受かるのは1名。
そして今日当日私は車の中でもう汗を搔いている。綺麗な風景が流れる中で
スタートライン事務所
翁執事「着きました、お嬢様応援しています。」
桜「ありがとう、じっちゃん、私頑張るね!」
私は入口の所でじっちゃんと別れ、受付の所に向かった。
受付の方「どういったご用件でしょうか?」
桜「はい、オーディションに申請した高山桜です。」
私より背の高いモデルみたいな人が受付を行っていた。一人だけなのに溢れんばかりのオーラで益々緊張してくる。
受付の方「はい、確認しました。こちらの名札を掛けて頂いて、右手の奥の方のスペースでお待ちください。」
桜「はい、ありがとうございます。」
私は平仮名のポップ体で書かれたさくらを首に掛け、受付の方に言われたとおりに少し広いスペースで待った。
オーディションに参加する人がずらりとパイプ椅子に座って待機していた。私含めて五名だった。
きらり「・・・」
ただ、そこに異彩なオーラを放つ私と同じ中学生なのだろうかいやどこか見覚えのある端正で溶け込んでしまいそうな、少し直人君に似てる男の子が居た。名札できらりと書かれていた。この男の子テレビのCMで見たような・・
ガチャと音がした、スタッフの方が扉を開けてくれた。
スタッフ「はい、参加者の皆さまこちらへ」
私たちはスタッフの方たちに連いていって、オーディションの部屋に行った。
スタッフの方「本日はグループ面接となりますので、全員お入りください。」
参加者一同「失礼します」
私たちは会議室に入りそれぞれパイプ椅子が並べられていた。
面接官「はい、それでは席にご着席ください。」
参加者一同「失礼します。」
私たちは順番に自己紹介をした。
きらり「はい、ジュノンボーイから来ました、きらりです。本日は宜しくお願い致します。」
桜「希望ヶ丘中学校1年生の高山桜です。よろしくお願いします。」
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面接官「それでは今から皆さんの歌唱力のテストを行っていただきます。皆さん各自好きな歌を歌ってください。」
皆が順番にそれぞれ歌っているやっぱり皆とても上手い、歌手のオーディションだから当たり前かもしれないけど、
面接官「それではきらりさんどうぞ」
皆、流行りの歌を歌っている、きらりさん男の子なのに女の子みたいな声を出しているぶっちゃけ上手いかもしれないけど、この中じゃ私が一番うまい気がした。本当に少しだけど、音程がズレている気がする。
面接官「いいですね~、ありがとうございます!」
うん、明らかにみんなと反応が違う、なんだろう差別的な物を感じた。
面接官「それではさくらさんお願いします。」
桜「はい!」
私は健太君が好きな緑色の‘新しい道‘を歌った。
私の声がこの部屋に響き渡った。正直一番うまいと思った。
面接官「はい、ありがとうございました。」
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面接官「本日はありがとうございました。それぞれ首に掛けた名札を返したあと、お帰りください。」
私たちは部屋の外に出た、皆帰っていくのが見えるが、私はその場に残っていた。
きらり「ちょろいな」
私は彼がボソッと言った小声な一言を聞き逃さなかった。帰り際に放った言葉はなんなのか、私はイラついた。
私はあろうことか部屋に耳をつけた。何を話してるか気になってしまった。ここで帰っていれば直人君に当たることはなかったと思う。
スタッフ「しかしこんなこと意味あるんですかね、初めから全て決まっていることじゃないですか、ジュノンボーイに出ている彼が歌手になるのは確定なのに」
面接官「ただ、実績が欲しいだけだろう、この事務所は小さいからほかの人を歌手にできる余裕もない、要は話題づくりだ・・」
スタッフ「しかし、なんだかほかの子達がちょっと可哀そうですね。」
面接官「仕方ない、全て‘仕事‘なのだから」
え、何ドアから聞こえる微かな声は全て残酷だった。私たちが頑張ってきたことは?
スタッフ「きらりくんはお金持ちで事務所の財政に関わっていく、私たちはある意味安泰かもしれませんね。」
お金、お金?、そんなものの為に私たちの夢を潰すの、そんなじゃあ意味ないじゃん、私はただ頑張ってやってきたのに、こんなことで、
もう私はきらりという少年が大嫌いになっていた。頑張っても報われない、そんなことを思いながら、私は帰ろうと思い、じっちゃんの車に乗り込んだ。
翁執事「今日のことは考えるのやめてまた次の機会に
桜「大人ってもっと夢があるもんだと思ってた、けど現実は汚かった」
翁執事「お嬢様・・」
隣に居るじっちゃんはハンドルを見つめながら悲しんでいた。じっちゃんみたいな人が増えればいいのに
ブブと携帯から音が鳴った
桜「彩美?」
チャットからで彩美から裏山で大変なことになっているから迎えに来てほしいと連絡が来ていた。健太君も居るらしい。
桜「じっちゃん、お願いがあるんだけど」
下を向いていたじっちゃんが顔を上げ、私の言うことを聞いてくれた、そしてサリー君に出会い、私の悩みってなんだろうって思った。そして直人君にぶつけた・・
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健太「桜・・」
桜「ほらね私ねなんだか分からなくなったのなんで歌っていたのか全部」
桜の目には涙が見えた。俺はただ心が痛い。
桜「私なんで歌すきなんだろう?」
その問いかけが俺にはどう答えればいいのか、自分さえよく分かっていない俺に桜のことが、いやでも
健太「桜!」
桜「うん?」
健太「歌って!、俺、桜の歌声が聞きたい!」
桜「え?」
桜は軽く困惑していた、けど歌えば桜がどうして歌手になりたいのか分かる気がした。
桜「分かった、私歌うね!」
桜は頷いて頭でぐるぐるしながら、思い詰めて空を見て、
桜「フゥ、♪~」
桜の綺麗な音色が流れていた、心が奪われた、この空や景色が全て桜のステージだった。俺はこの声をずっと聴きたいとそう思った。
子供A「うわぁー行こうお母さん!」
お母さん「ほら、けどそうね。」
おばあさん、おじいさん「いい声じゃ」
そして周りの人が桜の観客になっていた。俺達の周りを囲むほど綺麗だった。
桜「フゥ、ってええ?」
周りの人たち「ウォォォ」
桜は驚いていた、そして俺達は拍手を叩いていた。
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どうしたのだろう、歌い終わったら、急に人が居て拍手が鳴り響いていた。
そっか、私
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幼いころの桜「♪ー」
じっちゃん「本当にお嬢様はお歌が上手ですね~いい歌手になれますよ」
私の部屋でいつもお父さんとお母さんが居ない私に、父と母の愛情をいつもあげてくれたじっちゃんが喜ぶ姿、歌で人の心を動かしたいと思ったから、私、歌いたいと思ったんだ。
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周りの人がありがとうございましたと言って帰って行った。
子供A「お姉ちゃんありがと!」
子供が満面の笑みでそういう、そっか私
桜「こちらこそ!」
桜「私、頑張ってきたこと思い出した、健太君ありがとう!」
健太「いや俺はなにもしてないよ、桜がみんなの心を動かしたんだよ!」
健太君が私を支えてくれたおかげで、健太君が笑顔で導いてくれたおかげで、私思い出した、頑張る気持ち
桜「私頑張る!、そしていつの日か私の歌声でみんなを幸せにしたい!」
健太「うん、桜ならできる!」
夕焼けが私達二人を包む
そっかこれが青春ってことなのかな。
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