頑張ること、第4章第2話

教室

帰りの会

努気先生「はい、という訳で、一日皆さんお疲れ様でした。それでは日直さんお願いします。」

日直「気を付け、礼さようなら。」

クラス生徒一同「さようなら。」

皆が一斉にばらける。まるでドミノが倒れたみたいに。直人は帰りの会が始まる前にトイレに行ったきり、出てきてない。俺は彩美の方に向かって、今日は高山さんと二人で帰ることを伝えようと話しかけた。

健太「彩美、今日俺高山と二人で帰るから直人と代わりに一緒に帰ってくれないか?」

彩美「え、そういや直人はどうしたの?」

彩美は少し困惑していた。折角彩美が好きな人と帰れるようになったのに。突然のことでびっくりしたのかなとこの時俺は思った。

健太「直人はトイレに居る、まあそのうち出てくるだろうし、俺、高山さんと話したいことがあるからさ。」

彩美「話したい事?」

健太「うん。俺らの事でさ、高山さんと約束してんだ。」

彩美「そうなんだ、約束だもんね分かった。じゃあ直人待ってる。」

健太「彩美ありがと、今度五人で遊ぼうぜ!!。」

彩美「うん!約束ね!。」

彩美は本当に良い奴だよ、俺の頼みをこんなに聞いてくれるなんて。

高山「健太君一緒に帰ろう?」

クラスの出入り口から高山さんの芯がある声がした。

健太「ごめん、すぐ行く!」

何だろう、クラスの男子はともかく、女子からも視線を感じる、これが高山さんのパワーなのか、周りを引き付ける力というか、美人だけじゃない、高山さんのオーラを凄く感じた。

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男子トイレ

洗面所

俺は鏡で自分の顔を見た、こんなにも自分の顔を殴りたくなったのは初めてだった。周りの女子は入学当初めちゃくちゃかっこいいと言ってくれたのがまるで嘘みたいに思える、俺は一人の女子に自分の鬱憤をぶつけて、悲しませた。こんな恥ずかしいことあるか情けない。

直人「はぁ。」

自分の顔を眺めては溜息をし、また見ては溜息をしてずっとループしていた。

直人「健太・・・」

その時、近くに居た健太は真っ先に俺をチラ見したあとすぐに高山さんのもとに向かった。呆れられちゃって、相手してくれなくなっちゃったのかな。水道から流れる水滴一つが時間が流れていることを伝えている。

直人「そろそろ行かねえと、帰りの会終わったかな。」

俺は重い足を上げて、一歩、一歩、歩いた、教室に向かって。

教室

彩美「もう遅い!」

直人「え、彩美!、ってみんなは?」

どういうことだろうか、クラスの皆どころか、先生すら居ない。当たりそのものが静かで彩美の声がよく響いた。

彩美「もう、みんな帰ったよ、とっくに帰りの時間過ぎてるし、」

直人「ゲ、やば。」

彩美「先生には話してあるから大丈夫。」

直人「フ~、助かったぜ。」

彩美「私達、部活入ってなくて良かったね。じゃ帰ろ。」

直人「悪い~、待ってくれて、わざわざ一緒に帰ってくれるなんて。」

彩美「健太に頼まれたからね、本当感謝しなよ」

直人「健太が、、はい感謝します!!」

彩美「もう馬鹿なんだから笑」

俺は急いで帰りの支度をした。健太は呆れながらも俺の事考えてくれてたんだな。俺ってバカだな色んな人に迷惑掛けて。あいつは健太は困ってる人をほっとけないだけなのかもしれないけど、昨日一人の少年を救ったし、俺もまた今日救われた。健太は

直人「凄いよな」

彩美「ん、何、まだ~」

直人「ごめんもうすぐ。」

彩美「もう~。」

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帰りの会すぐ終わって、俺は高山さんと一緒に昇降口を出た。

一緒に歩幅を合わせて歩いてるだけなのに、胸がどきどきする。

高山「そういや、昼休みとか二人でよく話してたけど、二人で帰るのは初めてだね。」

健太「そういや、そうだね。」

あああ、そういやそうだった、二人で帰るの初めてだった。やばい何とか隠してるけど内心滅茶苦茶焦ってしまう。ここは余裕を見せなくては。

健太「なんか木が綺麗だねってありゃ」

木は枯れていた、まるでギャグ漫画かのように

高山「もう、大丈夫笑、健太君って面白い所もあるんだね。」

健太「ええ~」

しまった、早速やらかしてしまった。何だか俺が直人になった気分だ。

そうして俺ら二人は校門を出た。

健太「そういや、昼休み先生とは何話してたの?」

高山「昼休みはね、私実は歌手を目指してるの」

健太「歌手!?」

俺はこの時驚いてしまった、よく緑色のバンドの話をするが、そんな話は聞いたことがなかった。

高山「ハハ、そりゃそうだよね。」

健太「いやごめん、聞いたことがなくて。」

高山「私ね、父さんとか、母さんとかよく家に居なくて、海外に住んでたりして、数年に一回ぐらいしか会わないの。」

高山「だから家族の温かさとかよく分からなくて。」

健太「そうなんだ、確かに海外出張してるって言ってたもんね。」

高山「うん、そうなの。だから私はじっちゃんに育てられたの。」

そうか、俺達とは元々住む世界が違うんだ。こんなにも一緒に歩いて帰っているのにどこか離れている気がする。

健太「じっちゃんってあの執事の人?」

高山「うん、なんか執事って言いたくなくて、私にとってはおじいちゃんだから。」

健太「まあ、確かに好々爺って感じするね。」

高山「でしょ!!」

高山「私がしたいことに理解してくれて、それでとっても優しいの。」

健太「自分のしたいことか。凄いよ、俺には自分のしたいことなんて見つからないし」

高山「ありがとう、けど健太君も凄い所あるよ。」

健太「え、俺?」

高山「うん、サリー君に記憶が分かったからって、あそこまで親身になれないし、そもそも手を差し伸べられないよ。サリー君を救えないよ。」

健太「けど、手を握ったのはサリー君だよ、サリー君自身が自分を救ったんだよ。」

俺がそう言った途端、高山さんは少し固まってた。けどまた口を開いた。

高山「そうなんだ、やっぱり健太君は凄いよ。」

健太「え、そうかな」

やばいやばい、高山さんに褒められて心臓が止まんない、ずっと爆音だ。

高山「健太君、顔赤いよ、大丈夫?」

健太「え、マジ?」

高山「うん、マジ」

あわわ、マジか恥ずかしいってレベルを超越してる。俺は急いで言葉を探した。

健太「これは日が当たってるだけだよ。」

高山「もしかして照れてる?」

健太「いや全然そんな照れてないと思う多分。」

高山「多分笑、健太君面白いね。」

健太「いや、俺よりも直人の方が百倍面白いぞ、」

高山「そうなんだ、私嫉妬されてたんだよね、こっちが嫉妬したいくらいなのに笑」

健太「このまま帰って別れるのもあれだし、公園でもっと話さない?」

高山「うん、そうしよう。」

俺は焦りまくりで全然余裕を見せれてないような、いや俺って元々、直人が目立ってただけでこんな感じだったな、。

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希望丘公園

俺らは歩いて公園に着いた。いつも小学生が遊んでいて、とても楽しそうだ、それに小さいお子さんがいて、その親御さんが居る、正に理想の楽しい雰囲気に包まれていた公園だった。

健太「じゃあ、座ろう。」

高山「うん」

俺達は日陰に当たっているベンチがあったのでそこに座った。日陰があるのに高山さんは眩しい、

高山「喉乾いてきたし、飲み物買おう。」

健太「そうだね、飲み物買おうか。」

二人立ち上がって、自販機の前に並んだ。

健太「どっち先買う?」

高山「う~ん、健太君は決まってるの?」

健太「うん、決まってる」

うん、だって俺炭酸飲めないから。いやぶっちゃけ高山さんの前ではオレンジジュース飲むの恥ずかしいな、ここは苦手な炭酸にした方がいいのか?

高山「健太君?」

健太「あーごめん、ボーっとしてた。」

やべ、あまり考えられん。よし決めた。

そして、俺は小銭を入れて、結局オレンジジュースにした。

高山「健太君、オレンジジュース好きなの?」

健太「う、うんそうなんだ、ちょっと酸味があるのがいいんだ。」

高山「へぇ~変わってるね。じゃあ私はこれで。」

高山さんが頼んだのはゴリゴリの強炭酸のジュースだった。

マ、マジか歌手って喉が命じゃないのかって思いながら俺は高山さんの横顔を眺めた。

高山「じゃあ、飲も、飲も」

健太「だな、」

俺達二人ベンチに座って、一斉に飲んだ、オレンジジュース、どうして俺はこんなに喉が弱いんだ、、。

高山「ぷはぁ。」

しかし、まるで母さんがお酒を飲んだみたいにいい飲みっぷりだった。響く喉ごしの音、飾り気のないその姿はとても可愛かった。

高山「いや~、やっぱりこれだよね。健太君も飲んだらいいのに。」

健太「ええ~そうか?」

高山「うん、勿体無いよ、炭酸のおいしさがわからないと。」

高山さんが急に炭酸について熱弁しはじめた。やっべ困った俺炭酸飲めないのに。言うしかないのか、いや言うしかない。

健太「高山さん、実は俺・・」

高山「え、」

健太「俺、炭酸飲めないんだ!」

ついに、ついに言ってしまった。ァぁぁ、高山さんキョトンと固まってる。な、なんてことだ、引いてしまったか。

高山「プ、アハハ、健太君本当に面白い笑」

健太「え、ええ」

高山さんめちゃ笑ってる、、ええ、そんなに可笑しいことだったのか、、なんてこった。

健太「そ、そんなに笑うか?」

高山「笑うよ、だってかしこまった顔してこんなこと言うんだもん。」

健太「」

俺はもうこの時、地蔵になってたかもしれないくらい固まっちまった。憧れの女子にこんな反応されるとは、、

高山「そろそろ私も高山さんじゃなくて、桜って呼んでいいよ。」

健太「え、いいの?」

高山「うん。」

健太「桜」

高山「何?」

健太「う、うわ~恥ずかしい恥ずかしい。」

高山「ええ~何でよ~」

うわ~下の名前を呼ぶのってこんなに恥ずかしかったけ、どうしてこんなに気恥ずかしいんだ。桜って実際に日本の有名な四季の春の代表格の花なのに、高嶺の花すぎる~。

高山「私も下の名前で呼んでるし、下の名前で呼び合いっこしよ。」

健太「そ、そうだよな、じゃあ桜、オレンジジュースもおいしいぞ。」

高山「笑、そっかオレンジジュースねじゃあ今度飲んでみるよ、ありがと健太!」

健太「ああ、甘みもあって美味しいんだぜ。」

桜「甘みね~。炭酸も甘みたっぷりあるけど、」

健太「炭酸はシュワシュワがダメだ。」

桜「ええ~」

何だろう、俺普通に話してる、高山、桜ってこんな一面あるんだ、知らなかった。

健太「サリー君ってどんな感じ?」

桜「サリー君、朝ぐっすり眠ってて、なんだか可愛かった。とても元気だったよ。」

健太「そっか、そりゃ良かった~、」

桜「本当にサリー君のこと気にかけてるね。」

健太「ここに居る間には楽しい思いをして欲しいんだ。これ以上辛い思いしてほしくないから。」

桜「そうだね、うん、ちゃんと私が見てるね、サリー君。」

健太「うん、ありがとう。」

桜はまるでサリー君のお姉ちゃんになったみたいに、弟を可愛がるような温かい目で。まるで俺を包みこむような、そんな生暖かい声だった。

健太「桜なら、安心だな。」

桜「うん、任せて。」

友達ってこんなに頼もしいのか、なんだか友達という枠組みを超えて仲間になったとこの時思う。

健太「直人はさ、」

桜「うん」

健太「いつもはっちゃけているけど、あいつ滅茶苦茶優しいんだ。」

桜「うん」

ちょっと桜の表情が少し曇っている、それでも俺は話を続けた。

健太「昔のことなんだけどね・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

希望丘幼稚園

年長健太「あーやーみ。」

年長彩美「なーに。」

年長健太「いっしょにおままごとしよう。」

年長彩美「いーいーよ。」

俺は昔変わっていた、俺はこの時男の子とつるむ訳でもなく、ずっと彩美とおままごとをしていた。たまたま近くに居たのが彩美というのもあるのだが、俺は彩美とずっと一緒だった。

年長直人「あーけんた~また女の子と遊んでるぜ~」

年長男の子達「アハハ」

そうこの時、年長さんでは直人が幼稚園のリーダー的存在であり、同時にちょっと馬鹿にしてる、少しイヤな奴だった。

年長彩美「なんなのよ、もう」

年長健太「気にしないでいいよ、あんな奴」

年長直人「ちょっと、少しは反応しろよ。」

年長男子「なおと、そんなことより鬼ごっこしようぜ」

年長直人「お、おう俺が今日のルパンになるぜ。」

直人はきっとこの時、俺達の和に入りたかったと思う、けど素直じゃないから、こうやってちょっかい掛けてたんだろうな。

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幼稚園の先生「はーい、今日はみんなで動物園で遠足しまーす!。」

年長園児一同「はーい!」

俺達は先生の言うことをグラウンドで体育座りで聞いたあと、順番にバスに乗り込んだ。そして俺のバス席の隣がまさかの

年長直人「ふ、おままごと大好きなけんたかよ。」

まさかのコイツだった。こんなにイヤなことしか言わないやつと隣。正直今すぐにでも席替えしたい気分だ。

年長健太「悪かったなおままごと大好きなやつで。」

年長直人「・・・」

そしてバスは走りだした。俺は通路側のせいでよく外の景色が見えなかった。

年長直人「ほっっほーん、景色が綺麗だなぁとーても。」

俺は無視することにした、いちいちこんなやつの言うことを真に受けていられるか。

年長直人「なぁ、少しは反応してくれよ・・」

なんだろう、さっきまでの威勢とは違い大人しい声だった。どこか悪いことして怒られてるかのようなそんな態度だった。

年長健太「そんなの、一々お前の相手なんてしてられねーつうの、自分のしたこと考えろ、馬鹿」

年長直人「ハ、はぁ~馬鹿っていう奴が馬鹿なんだよ、バーカ。」

年長健太「お前本当に阿保だな。」

年長直人「な、ア、アホだって~この野郎さっきから言いたいことばっかり

先生「ほら、そこ静かにしなさい!!」

先生が立って注意してきた、もうなんてこった。

年長健太、直人「ご、ごめんなさい。」

年長健太「ほら、お前のせいで怒られてたじゃねえかよ、、」

年長直人「いや、どちらか言えばお前が・」

コイツと一緒に居ると喧嘩ばっかりになるな、何がしたいんだ、コイツ。座ってるのに長時間立ってる気分だ。

年長直人「お、おい聞いてるか?」

年長健太「あー聞いてるよ、うんうん」

年長直人「いやぜってー聞いてなかっただろ、」

年長健太「あーはいはい。」

年長直人「ほら、それそれ。」

先生「はーい!みんな~そろそろ動物園に着くよ~!」

年長直人、健太「おおおおおおおお」

そこには動物園の門で猿と麒麟の銅像が出迎えてくれた。窓からだったが、その光景は本当に猿と麒麟がその場に居るかのような臨場感で鋼色でありながら輝いてた。

通路側の俺は乗り出して、直人と一緒に見ていた。

年長直人「すっげーあれ、動物だー!」

年長健太「ほんとだー!めちゃめちゃ輝いてるぜ、かっこいい!」

年長直人「だよな、まるでお前みたいに!」

年長健太「え、俺?」

年長直人「バ、何でもねーよ。」

年長健太「今、馬鹿って言おうとしたろ」

年長直人「し、してねーわ!」

先生「ほら、そこ降りるから静かにしなさい!」

年長直人、健太「ご、ごめんなさい。」

年長直人「ほら、怒られたじゃねえかよ、、」

年長健太「俺は悪くないねーよ、もう少し静かにしろ。」

年長直人「わ、分かった。健太。って元はといえばお前が・・」

先生「はい、そこ降りるよ。」

年長健太「はーい。」

年長直人「ちょちょい。」

コイツ案外そこまでイヤな奴じゃないのか、なんだかんだこのバスは良い意味でも悪い意味でも退屈しなかった。面白いな直人。そう思いながら俺はゆっくり下を確認してバスを降りた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

先生「それじゃみんな列に並んで一緒に動物見るよ~」

園児一同「はーい。」

俺は先生の指示通り動こうとした。

年長彩美「けんた、一緒に行こう!」

年長健太「うん、いいよ」

俺は彩美と合流して一緒に動物園を巡った。

象「パオーン」

柵から見る生の象は迫力が凄く、鼻が上下に動いていた。今この時、動物園にある象のエリアは俺達、幼稚園の貸し切り状態だったと思う。

先生「じゃあ次はカバさん観に行くよ~」

園児一同「はーい。」

その後ろでウサギの着ぐるみさんが風船を親御さん達や、カップルに配っていた。

年長彩美「あ、ウサギさーん!」

年長健太「あ、あやみどこ行くんだ」

年長直人「・・・」

彩美が駆けだしたので、俺は咄嗟に彩美を追いかけた。

年長彩美「うわぁー」

ウサギの着ぐるみさんは白くて赤い目をしてきらりと輝いていたこともあり、可愛かった、たぶんこんな人間ぽいウサギさん居るのか?と少し疑問に思っていた。

ウサギの着ぐるみさんは俺らを見て、風船を二つ、俺と彩美にプレゼントした。

年長彩美「や、やったー。」

年長健太「あ、ありがとう」

彩美「あれ、みんなは?」

もう俺らが風船を受け取った時には、もうみんなの姿はどこにもなかった。ある一人を除いてだが、俺はこの時、気づいていなかった。

健太「みんな、居なくなっちゃった」

彩美「ええ、どうしよう・・」

健太「とにかく探そう!、そしたら見つかるよ。」

彩美「う、うん」

だが、探しても探しても、先生たちは、みんなは見つからなかった。

放送が流れていることに俺らは耳にさえも入ってこなかった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

大きな広場

先生たち「けんたくんたち見つからないわね。」

園長先生「とりあえず、放送を流したので、一部の先生方は捜索、ほかの皆さまはここで待機よ」

男子園児A「直人のやつどこに行ったんだろうな?」

男子園児B「だよな、全く人騒がせなやつだぜ。」

先生「どこに行っちゃったのかしら・・」

まさにこの動物園に大きな広場で私たちの園児たちが思う存分に遊んでいるからいいけども、私ってばちゃんと、直人くんの世話もみれないなんて。彼は捨てられていたのに。。

この時の広場は子供で溢れかえっていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

年長彩美「みんな、どこに行っちゃったの?」

明らかに彩美の声は潤んでいた、正直俺も泣きだしたいが、気持ちを堪えて彩美の傍にいた。

年長健太「あ、あやみ、大丈夫だよ、きっと見つかるよ、それに俺がいる」

年長彩美「け、けんた、うん!」

彩美がとりあえず心を落ち着かせている、良かった良かった、そう安堵して俺は前を見ていなかった。

ブンと、誰かの足にぶつかった。

年長健太「ご、ごめんな

強面な兄さん「あぁぁん」

そこは見上げるとヤクザ映画にでてきそうな強面な人がそこに居た。俺は怖すぎてこの時、声が出そうにも思うようにもでず、俺は木偶の棒みたいになってしまった。

年長彩美「ぅぅぅん」

彩美も怖くてまるで犬の鳴き声にしかなっておらず、とても怖いことだろう。

強面な兄さん「なんだ、坊主?」

一つの一つの声が虎が威嚇するような迫力がありとても怖かった。

年長彩美「ううう」

彩美が必死に涙を堪えている、もう逃げ出したいと思った時、

年長直人「おい、この人たちに手をだすな!」

強面な兄さん「あ?」

直人「この人たちは俺が守る!」

まるで正義のヒーローだった。颯爽と直人が現れた、俺達から少し離れた距離でそう言い放ったあと、強面な人のすぐ近くに走ってやってきた。

年長直人「俺がこの人達を守る、おいお前手なんて出してみろ!その時は俺がぜってーお前を倒す、この手にかけて!」

明らかに直人は震えていた、ただその雄姿はとてもかっこよく、俺は男としてイヤなこいつに惚れてしまった。素直に男としてかっこいいと思った。俺には絶対にないものを直人は持っていた。

強面な兄さん「・・・?、そういうことか」

この兄さんは何かを勝手に納得したようだった。

強面な兄さん「坊主、」

年長直人「なんだ」

明らかに話しかけられていた直人は小さい足が震えていた。

強面な兄さん「偉いぞ」

年長直人「え」

突如この時、強面な兄さんが急に笑顔で褒めてきた、俺達は軽く混乱しかけたが、情緒がそれどころじゃないないので、俺達はただ黙っていた。

強面な兄さん「えっと、確か迷子センターはあそこだな、おい坊主たちついてこい」

俺達は言われるがままこの人についていった、知らない人について行ってはいけないというが、急に笑顔になって、親しみを持ってきたこの兄さんに断ろうにも俺達はこの状況を何とかしたかったのでついていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

迷子センター

先生「良かった無事だったのね!」

俺達は迷子センターに連れられて、そこに先生が居て心配していたのかとても安堵していたし喜んでいた。

年長直人、健太「先生ぅぅわああん」

気づくと俺ら二人は泣き出していた。先生に会えて嬉しかったのか、怒られると思って泣いたのか、この時はよく分からなかった。ただ、泣きたかった。

強面な兄さん「それでは失礼します。」

先生「ほら、ちゃんとお礼を言うのよ」

年長彩美、健太、直人「ありがとうございました。」

彩美はあの時不思議と泣いてなかった。俺達二人は泣きながらいったので、ちゃんと言えてなかったと思う。

そのあと強面な兄さんは居なくなっていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

大きな広場

先生「皆さん、ご迷惑をお掛けしました。」

園長先生「いえ、無事に見つかって良かったです。」

そこは公園みたいな場所でみんなが遊んでいた。

年長直人「あやみ、ごめん今までイヤなことして。俺ただあやみと一緒に遊びたかっただけなんだ。」

年長彩美「いいよ!なおともかっこいい所あるんだね!」

年長直人「ああ、俺はとてもかっこいいぞ!」

年長彩美「やっぱりかっこよくない笑」

年長直人「ゑゑゑゑゑ」

年長健太「やっぱりアホだ・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

バスの中

俺は行きと同じバスで、同じ座席で直人一緒に過ごした。もうそれは多分傍から見たら親友だったと思う。綺麗な夕日の中、俺は疑問に思ったことを直人にぶつけた。

年長健太「なあ、直人?」

年長直人「ん、何だ?」

年長健太「どうしてあの時、怖い兄さんの時、俺をかばってくれたんだ?。」

少し間が空いたあと、直人はこう答えた。

年長直人「あの時、頑張らなかったらもう二人と一緒に居れないんじゃないかと思って俺二人が羨ましかった。俺もあの中に入りたくて」

年長健太「頑張る?」

年長直人「ああ、俺素直になれなくてさ、本当は逃げ出したかった、けど健太や彩美と一緒に居たかった。」

俺は直人のこと色々勘違いしていたのかもしれない、直人はとても強い男だと思う、俺なんかより、直人の顔が俺には眩しかった。

年長健太「じゃあ俺達三人幼馴染みだな、彩美と俺と直人!」

年長直人「やったー!!」

年長健太「今度三人でおままごとしようぜ!」

年長直人「だな!」

年長健太「役はどうする?」

年長直人「・・・・・」

年長健太「直人?」

俺は直人の顔を覗き込んだ、よく寝ていた。そりゃそっか俺もなんだか眠くなってきた。今日は良い日だったな。


それからというもの中学に上がるまでずっと三人一緒だった。小学校はずっと同じクラスこんな関係俺達だけじゃないかと思う。幼馴染みっていいな














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