頑張ること、第4章第1話

今日は何だか、気だるい朝だった。昨日のことがあったせいか、俺はまだ寝たいと思ってしまった。まだ、ベットの上だからダラダラできる、ただ、昨日のことが気になるので俺は起きて、一階のテレビを確認しにパジャマから学生服に着替えて階段を下りた。

健太「おはよう。」

母「あら、健太、おはよう、今日の朝ごはんは

健太「いつも通りでしょ、分かってる。」

母「そう、早く支度済ませなさいよ。」

健太「はーい。」

母との会話をしたあと、テレビを付けた。

朝やっていたのは、スーパーの特集だった。

健太「なんだ、スーパーか。」

俺は少し拍子抜けした。折角早起きしたのに。。

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母「気を付けて、学校に行くのよ、」

健太「分かってるよ、母さん。」

母「行ってらっしゃい。」

玄関で母との会話を済ませ、俺は家を出た。そして、またそこには。

直人「よ!」

健太「おはよう、直人。」

もう、さも当然かのように直人が居た。俺らは二人で学校行くことにした。

直人「なあ、昨日はやばかったよな、裏山もう一回行くか?」

健太「流石にこれ以上はな、、」

直人「なあ秘密基地久しぶりに作らないか?」

健太「秘密基地か、、ありだな。」

直人「お、マジ」

健太「サリー君どうしてるかな?」

直人「まあそうだな。」

健太「もしかしたら、勉強してたりして。」

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高山邸

リビング

サリー「ハックション。」

翁執事「おやおや、サリー様、大丈夫ですか?」

サリー「・・・」

翁執事「今朝食を出しますのでもう少々お待ちください。まあ日本語分かりませんか、はっはっは。」

僕は今リビングで何をしたらいいのか、分からないので、佇んでいる。しかし、あの女の子にも執事が居るのか、懐かしいな、僕にも執事が居た。ハナちゃんと同じくらい優しかった。ただ、名前だけは何故か名乗ってくれなかったんだよな、あの時僕は人を信じ切れていなかったら、名前は聞かなかった。聞けばよかったな。

今生きているのかな、けどお腹に弾丸が貫通してた、血も出てた。どうして仕事とは言え、僕の為に・・

サリー「うっぁうっぁ」

翁執事「おやおや、そりゃそうですよね、寂しくなりますよね。良かったらこれ使ってください。」

気づけば、僕は大粒の涙を流し、周りが見えないくらいだった。滲んで見えたハンカチが僕の手に渡され、僕は一礼した。

翁執事「礼なんていいですよ、ゆっくりしてください。」

僕は言葉が分からないけど、優しい声に包まれて、嬉しく、僕はハンカチで涙を拭いた。過去を悔やんでもしかたない。

翁執事「お、できましたよ、フレンチトーストと、ベーコンエッグです。」

僕は渡された食事を、ホログラムで毒性がないか、確認して、口の中いっぱい頬張った。とても美味しかった。

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直人「なあ、健太、もし親が、自分の親が自分を捨てたら、健太はどう思う?。」

健太「なんだよ、急に、さてはまだ仲直りしてないのか。」

直人「ヴぇ、別に、いやそうなんだけどさ。」

心地良い風が過ぎていた、学校の登校中に急にこんなこと言われるとは、俺はこの風と共に、自分の思ったこと告げた。

健太「よくわかんねえけど、捨てられたっていっても色んな背景があるからさ。きっと色んな人生があることを俺らは昨日知っただろ、だから、捨てられたからって悲観的にならずに」

健太「今を大事にすればいいんじゃね。」

直人「今か、まあ、そうだよな・・」

直人は少し俯き、珍しく下を向いていた。いつもあんなにはしゃいでるのになって思いながら俺は少し心配になった。

健太「で、昨日の高山さんに菓子買ったのか?」

直人「まあ、あんな奴に買うのめちゃめちゃ渋ったけど買ったよ。」

健太「なんだ、良いやつじゃん。」

直人「いや、いつもだろ。」

健太「お前なぁ。」

いつもの直人に戻った。ドヤ顔でいつもだろはアカンよ、まあだから直人なんだけどな。直人は自分に自信があっていいな、俺は少し心配性なのかな。

後ろから彩美が駆け寄ってくる、昨日は気付かなかったけど今日は気づいた。

彩美「おはよーさん、二人とも!」

直人「うぉぉ、彩美また今日も脅かすなよ、」

彩美「私、普通に挨拶しただけなんですけど。」

健太「まあ、いつも後ろから挨拶してくるからな。笑」

彩美「もお、二人とも~。」

健太「おはよう、彩美。」

彩美「うん、おはよう!。」

俺達三人はこの時小学校の時に戻ったみたいだった。昨日がなかったらこんなことにはなってなかっただろう。

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希望丘中学校

1年3組

努気先生「お、今日も三人仲良しだな、おはよう、水ヶ谷、大樹、虹川、」

健太「おはようございます。」

直人「おはようございますー。」

彩美「おはようございます。先生」

出入り口に入っていつも通り先生が教卓に立っていた。相変わらずのムキムキだ。

高山「先生、おはようございます!。」

努気先生「お、おはよう、昨日は昼休みわざわざごめんな。」

高山「いえいえ。」

そういや、高山さん昨日昼休み先生に呼ばれてたな。俺は席について、高山さんの方にしか目が行かなかった。

努気先生「それじゃ、朝のミーティング始めるぞー。」

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昼休み

教室

「ついに、来週で学校終わっちゃうね~。」

「夏休みだよ~、何する?」

クラスの女子が夏休みについて話あっている、そういえばもうすぐ夏休みか。やっべもっと、高山さんと話さないと。

健太「高山さん、昨日から、サリー君の調子どう?」

高山「ごめん、ちょっと私職員室に用事あるから、グループチャットで色々、話そう!、また」

高山さんは颯爽と職員室に向かって行った。なんだか俺は少し悲しくなってしまった。いや連絡先はあるけど、個人チャットでは一回もないし・・。

直人「高山の奴、ちょっと舐めてないか?」

健太「は?んな訳ないだろうよ。」

いつの間に直人が隣に居た。ちょっと恐怖を覚えてしまう。

直人「いや、さっきお菓子のこと言おうとしたんだけどさ。」

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直人の回想

日直「気を付け、礼ありがとうございました。」

生徒一同「ありがとうございました。」

お手洗いに行く者や、クラスの皆と喋る者、次の授業の準備をする者、ふざける者、正に、中学生ならではの教室だ。そして俺はいやいやながらも、丁度一人になった高山を見て、お菓子のことを話そうと思い、喋りかけた。

直人「おい、高山昨日の事なんだが、」

高山「あ、彩美~、ごめん蛍光ペン忘れちゃった、どうか貸してくださいませ。」

彩美「うん、いいよ~。」

あ、あの野郎、人が話しかけたのに、俺を遮って彩美の方に駆けやがった、しかも彩美の方に、俺達から、彩美を取ったくせに、あの野郎、俺の嫌味か、無視しやがって~。

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健太「いや、直人の言い方に問題あるだろ、,おい,って。」

直人「いやいや、俺は悪くないね。人の話を無視し、そして俺の嫌味までしてきやがった。これは文句を直接言ってやろうぜ。」

健太「お、お前なぁ・」

俺は呆れて物が言えなくなった。どうしてそのやる気をもっといい方向に動かせないのか・・

直人「よし、そうと決めりゃ行くぞ!。」

健太「お、おいちょっと待てよ。」

俺は走って行った直人を追いかけた。あいつ無駄に運動神経抜群だから、速いな、もう廊下走りたくないのにな・・

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職員室

高山「失礼します。努気先生居ますか?」

高山さんがドアをノックして職員室に顔を出した、先生を呼んでいるようだ、昨日のことだろうか、何の話をするんだろうか

直人「あの野郎、先生と呑気に話すつもりか、まさか俺の事チクるつもりかぁ、あの野郎ならこっちからチクってやる、」

直人が意気揚々と職員室に行こうとしたので俺は直人の腕を掴んだ。

健太「何やってんだ、明らかに出ていい幕じゃないだろう、今ここから俺らが出たら嫌われるぞ。」

直人「別に俺は嫌われても構わんな、あんな八方美人。」

健太「いいから、落ち着け。」

俺らは端っこで何してるんだろうか、傍から見れば完全に不審者だ。

努気先生「うん、高山どうした?、先生何か忘れてたか。」

高山「いや、昨日私先生の手伝いしたと思うんですけど、その時私が歌手のオーディションに出ること昨日応援してくださったじゃないですかなのでお礼に。」

努気先生「あーいやいや、ごみ捨てわざわざありがとな、先生助かったわ。歌手のオーディションどうだった?」

高山「それが、落ちました。」

努気先生「そうか、それは残念だったね。現実は厳しいな。必死に頑張ってきたんだろうに。」

高山「厳しくないですよ、全く。」

努気先生「え?」

高山「いや、すみません。つい」

努気先生「そうか、」

高山「先生、筋肉凄いですよね、どうしてそこまで頑張れるんですか?」

努気先生「いや先生なんてまだまだだよ。」

高山「けど頑張ってきて無駄だなって思ったことありませんか?」

努気先生「無駄か、う~ん。」

高山「いやなんか頑張れるの凄いなって思って。」

努気先生「頑張ることには自分で意味を見つけるしかないんだ。」

高山「え?」

努気先生「先生が頑張るのは頑張る自分が好きだから。けどそんな答えじゃ高山は納得できないだろう。」

高山「まあ、はい。」

努気先生「頑張ることは人が押し付けて生み出すものじゃない、自分で答えをだして初めて意味が生まれるんだ。」

高山「意味が?」

努気先生「うん歌手を目指していたのにも自分なりの理由があったからだろう。」

高山「はい、」

努気先生「その気持ちを思い出せば大丈夫だと先生は思うよ。」

高山「ありがとうございました。」

努気先生「あ、けど、学校のこと頑張ってください。」

高山「分かってますよ、先生!」

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廊下

はぁ~、職員室で話し終えた高山さん綺麗だなぁ

直人「よっしゃ出てきた、行くぜぇぇ」

は、しまった、高山さんに見取られ過ぎて、直人のこと忘れて腕掴んでなかった。

マ、まずい

直人「高山ぁ、さっきはよくもやってくれたな。」

はぁ少し直人がキレてるなぁ、声で分かる

高山「もう、あんたはなんなの、どうして私だけ酷く当たるの? 私が何をしたの。」

直人「何言ってんだ、さっき無視してたじゃないか」

高山「それは、あなたに何か言われるんじゃないかと思って。」

直人「俺はただ、お前に感謝しようと

高山「あなたの感謝のなんかいらない!」

直人「・・は」

高山「だって、あなたはほかの人には優しく接するのに、私だけ、私だけ、ずっと。私なんてまるでいない方がみたいな。」

直人「それはちげえよ!」

高山「え」

直人「俺は高山にずっと嫉妬してただけだ、高山に彩美を取られた気がして。」

高山「そんなこと。」

直人「正直羨ましかったんだ、俺は頑張っても、彩美は俺を振り向いてくれなかった。」

直人「けど、高山は違った、初めから中学の人気者で欠点がなくて、皆から憧れている存在だ、俺は頑張らないと皆から振り向いてさえくれない、高山と違って。」

高山「私だって頑張ってる!!」

俺は二人のやり取りをただ、見てることしかできなかった。

高山「失礼するわ」

直人「ちょ、おい」

高山さんが踵を返して直人から離れていった、強い足音だった。

健太「高山さん、待って。」

俺はただ、茫然とした直人を置いて高山さんの元に向かった。

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健太「高山さん、!」

高山「健太君!、今のやり取り見てた?」

健太「うん、ごめん見てた。」

高山「そっか、最低だよね、私。」

健太「それは違う、それも言ったら、俺はただ、見てることしかできなかった。止めることもできたのに」

高山「そんなことない、ありがとう」

高山さんの目は明らかに涙目だった。俺はとても胸が痛くなった。好きな人の涙を俺はただ見てるしか・・・

健太「今日一緒に帰ろう!」

高山「え?、大樹君たちと一緒じゃなくていいの?」

健太「うん、大樹もとい直人のことちゃんと話した方がいいかなって。もう昼休みも終わっちゃうからさ。」

高山「じゃあ、一緒に帰る!」

健太「うん!」

高山「って次の授業なんだっけ?」

健太「次は社会だ、やばい、遅刻したらめちゃ怒られる、急ごう!」

高山「もうこんな時間、駆け足で行っても怒られないかな?」

健太「俺走って行ったし、大丈夫だよ、多分」

高山「え~多分なの笑」

俺ら二人は駆け足で笑いあいながら、自分の教室に向かった、顔を合わせながら笑いあうことがとても幸せだった。何だか尊いな。

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直人「俺何やってんだ、女の子に向きになって。。」

俺はただ立ち尽くすことで精一杯だった。直人は高山の方に行った、俺は最低だ。

はぁ、足取りが重い、俺はゆっくり教室に向かった。一人で居ることを噛みしめながら

直人「こんなの彩美に嫌われるよな、、、」


俺一人で居る方がいいのかな、こんなことして、俺は何がしたかった。俺は皆からどんどん離れていく。俺は、俺は

ただ、この嫉妬心をどうにかしたかった。

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