第45話「進撃の三女神」
突然、オリンポス神界の天空が爆発した。
デーヴァ神族の三女神と、神獣ドゥンに乗った私とアルレースは時空を破り、オリンポス神界に到着したのだった。
「ごるぁあ! アレスという小僧、出て来いやああぁぁぁぁ!!!」
怒りの
「何者だ、無礼者どもがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ドーーーーーン ガガガーーーーーーン
ゴゴーーーーン
三女神の登場に怒ったゼウスは
激しい稲光が何条も天空から走り、何度も轟音が響き続ける。
大気はプラズマによる電離でオゾン臭が蔓延、どこかから焦げた臭いも漂った。
「ふん、そんな物、効かぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ゼウスの
女神様達は最高神の攻撃を受けても、その身が砕ける事が無い。
雷が何の攻撃手段にもならないなら、雷神トールでさえ敵わないかも。
大地母神である彼女達に、天空の
大地に雷が落ちた様なものなのかも。
「凄いです……」
アルレースはその威容に言葉を失う。
眼下の神殿からは何事かと神々が飛び出し、右往左往を始めている。
そんな様を睥睨しつつ、
「
さっさとアレスという小僧を差し出すのだ、我らが叱ってくれるわぁぁぁぁぁぁ」
「うわー、何て凶暴な女神なんだー」
「誰か、助けてくれー」
神殿の周りでは神々やニンフ達が恐れ逃げ惑う。
そんな中、アレスという言葉で、アテナとアルテミスは私達を見つけた様だ。
「ヒルトとアルレース、戻って来たのですね」
「凄まじい味方まで出来たのですね」
「おい、誰か、誰かアレスを連れて参れ!」
どうやらアレスがこの騒動の原因なのかもしれない。
事情が解らなければ、怒りに燃える女神達と話し合いすら出来ない。
アレスは神官達に連れられてやってきた。
「なんだ? あのオバハン軍団は」
「なんですとー!!!!」
アレスの一言で皆が引いた。
こいつは今回の騒動の元凶なのに、何も解っていない。
三女神の怒りに燃えた鋭い目がアレスに向けられた。
「口の悪い坊やだこと」
「私達に勝てると思わない方が良い」
「その愚か者には私達が鉄槌を下す。覚悟せよ」
アレスの近くにいた神々は蜘蛛の子を散らすように逃げ回る。
「うわああぁぁぁぁ助けてくれー」「私は死にたくない―」「お、お助けを―」
「ひいいぃぃぃ」「わ、悪いのはアレスです、私は関係無い」「キャ――――」
「あ、おい、お前らどこに行く」
「アレスとやら、お前は逃がさん!」
「俺が何したって言うんだよ!」
取り囲むように三女神はアレスを包囲した。
対するアレスも剣を構えた。
「お前はアルレースに何をした」
「ヒルトに迷惑を掛けたいとは男の風上に置けん」
「お前は私達の怒りを買ったのだ」
アテナとアルテミスは心配そうに事態を見守っている。
それは最高神ゼウスを以てしても同様の反応だ。
さすがに怒りの三女神を止められそうに無いし、間に入ろうとも考えられなかった。
「ヒルトだって? そもそもあいつが悪いんだよ。
何一方的に俺だけが責められるんだ」
「黙らっしゃい!」
「お前の悪行、オリュンポスの神々が許しても我等が許さん!」
「小さき男めが、私共の
アレスは
その打撃の一つでアレスの構える剣まで粉砕された。
「おうらぁ!、教育的指導と知れ――――――」
ぐわっあああああぁぁぁぁぁ!!!
どうなっているのか知らないけど、
その打撃で倒れる事も許さない連打の連続が続けられた。
その間も
酷いリンチだけど不死の神族であるアレスは死ぬ事は無いだろう。
「さあ、言え、アルレースに詫びろ!」
「アルレースを元に戻して差し上げろ」
「反省が出来ぬなら、我等の
怒りの三女神にボコボコにされてボロ雑巾のアレスはまだ口が聞けるだろうか。
力と暴威で敵を蹂躙してきたアレスが今、
その姿にはもう『軍神』を名乗れる威厳は無い。
今までの光景にアルレースは心底怯えてしまった。
(あの女神様方が味方になってくれて良かった。
でも敵に回ってしまったら……恐い、恐い、女神様が恐ろしいです)
「怒れる女神の方々、突然の突入に攻撃して悪かった。
今暫し怒りを収め、どうしてこの様な事態になったのか聞かせてくれまいか」
ようやく最高神ゼウスがリンチの中断に割って入って来る。
間に入るゼウスも余程の覚悟を決めたようだ。
「
「話し合いを望むなら受け入れる事
「神界最高神の申し出だ、我等も受け入れよう」
三女神と話し合いが行われ、改めて場を整え話を聞く事になった。
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