第41話「メソポタミア」

私達はメソポタミアの移転ステーションに到着した。



旅行ガイドを見るに、

BC7000~BC3000頃のエリコに世界最古の都市文明生まれる。

シュメール人の都市文明出現にメソポタミア文明が開花した。


BC3150年頃、上エジプトのナルメル王が下エジプトを軍事的に征服し、上下エジプトを統一してエジプト第1王朝を開いた。


古代エジプト文明とほぼ同時期だね。

ここら辺一体と行き来するのは不可能なほど離れていないし。


前18世紀頃古バビロニア王国(首都バビロン)のハンムラビ王がメソポタミアを統一。

ハンムラビ法典を制定する。


BC2000~1700年頃アブラハム一族が神に導かれシュメールの地ウルからカナンへ移住。

アブラハムの宗教はシュメール神話を受け継いでいる。


大体の年表はこんな所か。



「ここも凄く古い文明の地なのですね」


「だから見所も沢山あると思うんだ、古い神々の地でもあるしね」



私達はウルのジッグラト見物に来た。

BC2100年頃、ウル第三王朝のウル・ナンムが建造したとされている建造物だ。

今は廃墟の中の遺跡として観光名所になっている。



「凄い……、これも大きいですね」



ガイドを見れば、

現在でもよく使用される日乾煉瓦や焼成煉瓦が用いられた。

躯体主要部は日乾煉瓦によって構成され、表面は焼成煉瓦で仕上げられている。

と書かれている。



「神殿でもあったらしいね」



最上部に月神ナンナを祀る神殿を載せていたようだ。

いまはもう神々の気配は無い。

洪水が起こった時には避難場所にもなったようだ。



「当時の神様方は何処に行かれたのでしょうね」


「うん、皆豊葦原瑞穂の国に帰ったよ」


「え? 帰った?」



現在のイラクにあたるこの地ではBC9000年頃から農耕が始まっていたが、紀元前3000年頃までに、青銅器や文字を使用するウルなどのシュメール人の国家が成立し、高度の都市文明が誕生した。


ここまでは知られている情報だ。

しかし、それ以前の情報が無いから突如文明が興ったように錯覚されがちだ。



「メソポタミアを興したのは実は縄文人だよ」


「え? 縄文人ですか」



縄文人の痕跡を探るのに縄文土器の発見が関わっている。

最も古い土器は約16500年前に出現、水田稲作が開始された。

現在の日本列島域で最初に人類 (ホモ・サピエンス)が到達したのは、今からおよそ38000年前の旧石器とされているが、30000年前の土器も発見されている様だ。

土を焼いて土器にするくらい考え付かない事は無かったはず。


当時の縄文人は既に各地と交易を行っていた。

交易を行うために共通認識が必要になる。

そのためには文字が必要になる。


縄文人の足跡は地球上の彼方此方あちこちで見つかっている。

彼等は陸路、海路を辿り、メソポタミアにも辿り着いている。

長い旅を行うために一夜方角を確認するため星見の技法も確立されている。

星見の技法は占星術に繋がっている。


シュメール文化を興した彼等はスメル人であり、縄文人だ。

人と人が交われば、一つの民族として融合して行く。

文明を持ち込んだ彼等を地元人はアヌンナキと呼んだのだろう。



「そうなのですか」


「うん、その証拠の一つに太陽紋があるでしょ」



縄文時代は16500年前に興っているから、地球各地を旅する時間は十分にある。

古代文字は後の文字の源流になっていて、古代文字は中国大陸に渡り漢字の元になった。

メソポタミアで社会制度を確立したのはスメル人という事になる。



「何故スメル人はこの地を捨てたのですか?」


「完全に捨てた訳でもないでしょうけど。

 ジッグラトと周りの景色を見て何か感じない?」


「そうですねぇ、とても大きいです。

 それにしても凄い数のレンガで造られていますね。

 森が無いのは地軸の影響でしょうか」


「かつてはここにも森林はあったんだよね」



当時の人々は未知の領域である森林を恐れた。

魔物フンババ討伐と称し、周りの森林を伐採し尽くし砂漠化してしまっている。

大量のレンガを焼くための燃料として森林を失くしてしまった。

保水力を失った大地は砂漠化するしかない。



「文明が自然を破壊した見本だね」



文明を興したスメル人は豊葦原瑞穂の国に戻り、国津神となった。

後にユダヤの失われた10支族も、東の果て豊葦原瑞穂の国に行き着いた。

この時、天孫降臨として高千穂の峰に降り立ち、天津神となった。



「そんな歴史があったのですか」


「そうだよ。

 だから日本の天皇陛下は『王』とは言わず、『すめらぎみこと』なんだ。

 そして皇室の菊花紋はシュメールの太陽紋と同じでしょ」


「なら、どうして歴史は失われてしまったのです?」


「その時、その時代の戦争の勝者が自分達に都合良いように書き換えるからねぇ」


「知られている歴史って、そんな物なのですか」






観光を終えた私達はバビロンに移った。


ここには有名なバベルの塔の残骸がある。

決して砂の嵐に護られていないし、コンピュータ管理もされていない。



「大きな塔の残骸ですね」


「そう、あれが有名なバビロニアの塔」



バベルの塔建設で怒った神は人々の言葉を乱したとある。

実は今でも皆同じ言葉を話している事を知っている人は少ないだろう。

言い方が異なるのは、方言というものに過ぎないのが真実だ。

〇〇国語と言うのは、〇〇国地方の方言だったりする。



「いくら高い摩天楼を建てても、神界には届かないんだよね」



神界は別の次元にある。

高い建物を建てられたとしても成層圏に届くだけだ。

そもそも神を超えるなんて考えは 陳腐ちんぷとしか言い様がない。

神は階級制度の上位者じゃないからだ。



「ヒルト様と共にいると解る気がします」



言語にしても、縄文人が伝えた言葉は50字ある。

時代と共に言葉は短縮の方向に向かう。

誰だって長ったらしい名や言葉を口にしたくないだろう。

それでアルファベットは26文字にまで少なくなってしまっている。

言霊を操るには、それでは足りな過ぎる。



観光を終えた私達は次の観光地を目指す事にした。

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