第30話「冒険者登録」
このオリンポス神界にも冒険者ギルドは存在した。
この際、何故という事は無視する。
良いんだよ、ご都合主義だって。
この世界で妖精フェアリーは珍しいから、アルレースの存在は隠しておく。
だから一見して私
しばらくの間はギルドの依頼を受けて、路銀を増やして行かなければ。
装備的には問題無い。
私は
アルレースは妖精界製の装備の現役女性騎士。
最初から高レベル装備の、初心者冒険者なのだ。
と思っていた時期もありました。
ここってオリンポス神界じゃん。
だから住民の持つ物は全部
極論すれば、一般家庭の鍋窯までも
私が最初から持つ兜・剣・盾は神界でも一般普及品だ。
だから神界の中ではショボ装備って事になる。
良い装備を買い揃えて行かなくちゃマズイじゃん。
でも亜空間収納と移転能力があればチートだよね?
壁に貼られている依頼票を見ている。
私は登録したてで冒険者レベルは最下位のFだ。
最下位の冒険者が選べる依頼は街の雑用位しかない。
せめて外で魔獣を倒せれば収入も大きくなるんだけど。
そうでもしないと良い装備を買う事も出来そうにない。
「困ったねぇ」
「上級クラスの仲間がいれば良いのですが」
それだとアルレースの立場が悪くなる。
知り合ったばかりの仲間じゃ信頼関係無いし。
宜しくない者がいれば、アルレースは攫われたり売られたりする危険性がある。
ギルド内を見れば、それなりっぽいのはいる。
「何かお困りですか?」
振り向くと受付嬢が声をかけてくれたようだ。
ここはひとつ相談してみるのも良いかも。
「魔獣討伐を受けたいけど、さっき登録したばかりで私ランク低いんですよ」
「それは仕方ありませんね。
新人は経験を積まないと外で戦うのは危険ですから」
「確かに新人は新人ですけど、私戦場経験が多いんですよ」
「それは本当ですか? 何年くらい戦場経験を?」
「1000年くらいですかね」
「え? 千年?」
「神族でそれくらいは珍しくないと思うんですが?」
驚いた受付嬢は疑わし気に私を観察しだす。
え? ここじゃ何か違うのかな?
だってオリンポス神界だよね、ここ。
何か胸ポケットの中でアルレースも
受付嬢は踵を返し、奥の事務所に駆け込んで行った。
しばし待つと、上司と思しき初老の男性を連れて来た。
「貴女がヒルトさんですかな?」
「はい、そうですけど」
「ギルド長室で少々お話を伺っても宜しいですかな?」
私はギルド長室に案内された。
「先ほど受付の者から、貴女様が神族だと聞きましたが」
「ええ、そうですよ」
私はギルド長に事情を話す。
アース神族の者であり、旅行中の
旅の途中、路銀が少なくなったから冒険者で稼ごうと考えた事。
「外国
ギルド長は一応納得してくれた様子。
それにしても神族を見ても驚かないね。
それだけこの世界は神と人族の距離が近いのかな。
もしくは皆
「お話は解りました。
貴女は冒険者登録をしたばかりと伺いました。
そこでギルド長権限でランクCに改めさせて頂こうと思うのですが」
「え! 良いんですか?」
「ただし事故などがあった場合、当ギルドとしては責任は負いかねます。
それで良ければの話ですが」
つまり外国
元々誰にも責任を被せようと思っていなかったし、構わないよね。
「それでお願いします。
あ、換金に差は付けられませんよね?」
「勿論でございます」
「それなら良かった」
かくして私達は冒険者として稼ぐ事が出来るようになった。
せっせと稼いで良い装備を買わないと。
宿代だって滞在中はかかるんだし。
「良かったですねヒルト様。
それにしても神族って凄く寿命が長いのですね。
驚きました」
「うーん、寿命っても良く解らないんだよね。
少なくとも千数百年は
「すみません、
私は改めて
最高神オーディンが治めるアース神族の者の一柱である事。
戦場で勇猛に戦った戦士の魂を選別し、
但し戦闘部の
だから
「そうだったのですか。
しかしヒルト様は女神様である事は変わりません。
私の誇れる君主で、これからも従者としてお仕えしたく思います」
アルレースはそう言うけど、アレスをとっちめて人間世界に返すつもりなんだよね。
ご家族は心配してるだろうし。
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