第3章 成長
第21話 セカンドミッション①ランダムシャッフル
デスゲームの第2幕が始まろうとしている。
(セカンドミッション…!)
リョウタの緊張が高まる。
幾分かマシになったとはいえ、筋肉痛はまだ残っている。
昨夜の惨殺事件は精神的負荷となっており、更に犯人がサバイバーの中にいるという状況。気分が休まる暇はなく、コンディションは非常に悪い。
だが、やるしかない。
鈴木ハジメ改め鈴木ツグルが話し始めた。
「ミッションを始める前に確認しておきます。ナンバー1、ナンバー2、ナンバー8。昨日申請したレアアイテムは届いたでしょうか?1時間ほど前にドローンで配送したのですが」
(…完全に忘れていた)
リョウタは思い出す。
ファーストミッションの上位3名に贈答されるレアアイテムの話を。
「ああ、届いたでー。おおきにな!」
3人を代表してシャオが答えた。
他の2人も頷いている。
見れば、シャオはリュックの他に長いジェラルミンケースを持っている。
一方で一条とガルシアは大きな荷物は何も持っていない。
逆に何を貰ったのか気になるところだ。
(上位3名か。…入れる気がしないな。上位を狙うよりも、生き残ることを優先しないと)
セカンドミッションへの方針が、リョウタの中で定まった。
「それでは開始いたします」
鈴木の言葉とともに、クラシック音楽がタブレットから流れてくる。
全く癒されないクラシック音楽が。
そしてタブレットにデスゲームの内容が表示された。
【ミッション内容:チームに分かれ、目的地に到着する】
【制限時間:8時間】
【逸脱行為:指定されたルートから外れる】
【参加者:76名】
【備考:地図アプリを活用のこと】
(チーム?目的地って何処だ?8時間もあるのか?それに地図アプリ?)
疑問だらけだ。リョウタは顔をしかめた。
それに答えるように鈴木の声が響く。
「表示されている通り、セカンドミッションはチームで分かれていただきます。しかし、好きな者同士でチームを組むという意味ではございません。チームのメンバーは完全なるランダムで決定いたします」
(ランダムだって!?)
リョウタを始め、動揺がサバイバーに広がっていく。
デスゲームが始まって丸1日、試験会場からだと2日ほどが経過しているのだ。既に集団が出来つつある中でのシャッフル。
リョウタはカルラに投げた言葉を思い出していた。
『でもこの救済プログラムはデスゲームです。ミッションをクリアするためには、団結した方がいい。セカンドミッションは明日です。死ぬかもしれないんですよ!?』
(何が団結だ!完全に読み違えた。全く知らないメンバーとのチーム戦になる可能性の方が高いッ!)
最早、仲間と言えるようになったメンバーに目を向ける。
みな無言だ。
リーダー的な立場にいる矢野は深刻な表情だ。
後藤も、アイも、あの天真爛漫なレナでさえ。
ヤヨイにいたっては、両手を体に回しガタガタと震えている。
そこに鈴木から続きが語られる。
「ランダムで8チームに分かれていただきます。参加者は76名ですので、1チームあたり9名もしくは10名で構成されます。出発地点はチーム毎にバラバラです。ただし目的地ですが、これは全チーム同じ場所になります。口で言っても分かりづらいので、タブレットをご覧ください。新しく地図アプリがインストールされておりますので」
確かに地図アプリが追加されていた。
アプリを開くと島の全体図が表示される。
(!)
リョウタ、いやサバイバー全員が初めて島の概要を把握した。
島の全体像はひし形。
その縁(ふち)はほぼ直線であり、自然に形成されるものではない。
『人工島』という意味が初めて実感できた。
北は山岳地帯。東端は海岸がある砂浜で、森林へと繋がっている。西端は砂漠、手前に沼地がある。南には市街地があるようだ。そして中央部分は草原が広がっている。草原の真ん中にはひょうたん型の湖が確認できる。
島にも関わらず、あらゆる環境が網羅されている。
これも人工物だからこそだ。
地図には光っている点が2つあった。
山岳地帯から草原にかけてのあたりで赤い点が点滅している。
また、南の市街地の入口には青い点がつきっぱなしだ。
「さて、地図を開いていない方はいらっしゃいませんね。点滅している赤い点が皆さんの現在地を示しております。そして目的地は青い点である旧市街地です。ミッション開始時刻は10時になりますので」
鈴木の言葉に全員が現在時刻を確認した。
9:17
「ではチーム編成を行います。地図アプリを閉じてください」
すると画面にAからHまでのアルファベットが縦に並んだ。
数は8。これがチームを表しているらしい。
アルファベットの横に数字が1つずつ表示されていく。
これは誰でも分かる。サバイバーのナンバーだ。
番号の若い順、つまりは高ナンバー順に画面が埋まっていった。
リョウタの順番は最後だ。
早く表示されてほしいという思いと、表示してほしくないという矛盾した気分だった。
ついにリョウタのナンバーが表示された。
B : 1 3 30 42 59 63 70 88 99
(1と3だって!?)
その2つの数字はリョウタにとって覚えがありすぎた。
ナンバー1の一条マコト、ナンバー3の月宮カルラだ。
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