狩猟本能

シヨゥ

第1話

 言葉はなくても伝わる。それほどまでに互いを知りつくした関係になる。そのためには時間が必要だという。だが、ただただ同じ時間を過ごせばいいというわけではない。相手を知る努力をする。それが必要なのだ。


 男はとくにそれが欠けている。告白して彼女ができた。その段階で本能が目的を達成したと判断する。その結果、努力が失われる。努力の終わりは新しい努力の始まりだと思えない。そんな本能的な問題が生じている。


 なぜそんな本能があるのか。これは獲物を狩って生きていた大昔から形成されたものだ。獲物を狩る。つまりは目的を達成する。その達成のために努力を重ねに重ねてエネルギーを消費する。過度なエネルギー消費は死を招く。だから目的を達成した段階で疲れ切った男はエネルギー消費を制限する。つまりは努力を止めるのだ。今では男の獲物は女に変わった。というと失礼に当たるが間違ってないと思う。

 

「再び立ち上がるために時間をくれませんか」

 そう男は言うべきかもしれない。告白を終えて今は疲れ切っていると宣言するのだ。

「もしいつまでたっても動けないようだったら声援をくれませんか」

 少しの刺激でも動けるようになるものだ。それが好きな人からだったら大きな刺激に感じるだろう。

 言葉はなくても伝わる関係。その始まりはこうした言葉で伝える関係なのだ。その努力の積み重ねでようやく関係は深まっていくのである。

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狩猟本能 シヨゥ @Shiyoxu

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