第29話
そう思った彼女の耳に、特大の溜め息が聞こえてきた。
「あー、もっと上手く告白すれば良かった~!!」
大友の叫び声を聞いて、自分の首にかかったマフラーの色を確かめた。
二回くらい。
その鈍い輝きを見て、有夢はよいしょっと立ち上がる。
「・・・お仕事スタート、ね」
静かに階段塔から降りた彼女は、頭を抱えた彼に向かって、ゆっくりと歩き出した。
「ため息泥棒」 了
ため息泥棒 黒珈 @take_k555
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