第19話

(・・・う・・・ん)

 暗がりの中、アオイは薄目を開けた。


 暫く経って、周囲の状況がはっきりしてくる。

「私の部屋?」

 ベッドに横になっていたアオイは、起き上がってみる。

 カーテンの隙間から覗く光は、早朝の雰囲気だ。

 窓際に駆け寄って、彼女は自分が制服のまま寝ていた事に気付いた。


「今日、何日なんだろう?」

 部屋を出たアオイは、予想外の寒さにぶるっと身を縮ませた。

 勢いで玄関に出て、朝刊の日付を確認する。

「2月10日・・・」



「アオイ、日曜日の朝っぱらから制服着てどこ行くの?」

 騒々しい物音で起こされた母親が、不機嫌そうに顔を出して言った。

「しかも夏服よそれ」

「ホントだ」

 少し恥ずかしくなった彼女は、着替えに戻りながら思った。



 本当に戻ってきた、でも、


 あと5日、5日しかない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る