第18話

「・・・ポイント還元って訳?」

 半信半疑で聞いていたアオイだったが、その視線は有夢の首に巻かれたマフラーに移っていた。


 先程まで普通の毛糸編みだったそれが、いつの間にか真珠色の鈍い光を放っている。


 現実と非現実の区別が無くなり、平然とリストカットを続けてきた自分でさえ、目を疑う様な現象だ。

「ただの詐欺師じゃなかったんだ」

「あ、酷い、むー」

 むくれる有夢を見て、アオイは思わず笑った。


 久しぶりに、本気で。


「決めたわ、有夢」

 アオイは、泣きそうになる自分を励ましながら言った。

「わたし、もう一度ナオ兄さんに会いたい」


「了解」

 有夢の首元が、ボウッと光った。

「時遡(ときさか)の術・・・生稲アオイを、過去に」



 その光の帯はどんどん大きくなり、彼女、そしてアオイの身体を包み込んでいった。

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