第15話
幾度となく通った駅、
幾度となく通った道、
行き着いた先に、直人の部屋は無かった。
「年末に、出て行かれましたよ」
顔見知りの大家さんが、彼女に教えてくれた。
「妹さんにも言わなかったの? よっぽど急だったんだね」
「兄さん、どうかしたんですか?」
理由知り顔の大家に、アオイは詰め寄った。
暫く彼女を眺めていた彼は、やがてゆっくりと言った。
「・・・入院、するんだって」
(え?)
「にゅう、いん?」
その時、彼女のポケットから着信音が鳴り響いた。
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