第6話

 二月十四日、木曜日

 今日は朝から雪が降っていた。

 校庭にも雪が積もっている。

 二年生は学力テスト、窓から眺めていると一年生が体育で雪合戦をしていた。

 うらやましい。

 今日はバレンタインデーだ。

 数学の山田先生が余計な妄想を膨らませて、計算式を3つもミスっていた。

 お大事に(笑)

 色々な想いが交錯しているんだろう。

 みんな、お幸せに♪





 それは衝撃だった。


 体中を、忘れていた記憶の激流が駆け巡る。

 その全てを受け止める事が出来ない。


「駄目だ、駄目だ」


 あの日、わたしは自分で決めたんだ。

 その事を、それを回避する方法を。

 アオイは大きく息を吸い込んだ。そしてゆっくりと吐き出す。

 小さな唇から出された一筋の風は、教卓を滑り落ちて教室の床に届いた。



 もっと、もっと飛んでいけ。

 そして、


 全てを、忘れさせて。

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