町からの帰寮
町から寮へと帰ってきた。
寮に戻るとゴリアテが外で教官と夕日を眺めていた。
「お!戻ってきたぞ!良かったなゴリアテ!」
「よかった、ふたりでしんぱいしてたぞ、おかえりみんな」
なぜだか心配されていたらしい、俺たち的には養成所にいる3人組の方が心配な訳だが。
「ただいま、ゴリアテ、ヴィルとカミナは何してるんだ?」
不思議に思って聞いた。
ここにはゴリアテと教官しかいない、他の2人はどうしているのだろうか。
「カミナはねてる、ヴィルはおばさんにこきつかわれてる、みるのたのしいぞ。」
カミナは相変わらず寝ているらしいが…ヴィルはこき使われているらしい、食堂を覗いて見よう…
すると今年入ったばかりの養成所の生徒達が夕食をとっていたが、流し台に悪人面のヴィルがせっせと皿洗いをするのが見える。
あまりにおかしくて俺とアルトとゴリアテは吹き出してしまったが、それに気づかれたらしく、何か文句を大きな声で言っていた。
しかし、生徒のあちこちから飛び交う会話にその声は飲まれて何も聞こえなかったし、食堂のおばさんからはお玉で頭に一撃をもらって危うく気を失いかけていた。
とりあえずヴィルの『仕事』が終わるまで外にある椅子で待っていた。
しばらくするとヴィルがエプロンをつけたまま出てきたが、怒る気力すら枯れ果てたらしく。
「もう…疲れた…から…町での話少しきいたら…も…寝るわ…」
と息も絶え絶えに言っていた。
そしていつも俺たちの集まる、寮の広間に向かう。
しかしカミナがまだ寝ているらしい、一向に来ない、しかもなぜか俺が迎えに行くことになった。
「ここは同性のニアが行くべきなんじゃないか!?!?」
と言ったが激しめに主張したが、アルトは
「お!!頑張れよ!!俺は応援してるぜ!!中衛カップルの誕生をよ!!頑張れ!!ルドー!!」
と謎にテンションが高く、取り合ってくれなかった。
カミナの部屋はたしか寮2階の角部屋だ。
木の階段を登りきり、カミナの部屋のドアをノックする。
返事がない、寝ているのだろうか。
「これは…いいのか…?入っても…?」
女子の部屋というものは入ってはならない禁足地だと思っている、そこに入ったならもう紛れもない―――――――――ガチャリとドアが開く。
「ルドー、君今入ろうとしてたでしょ?ダメだよ、入っちゃ。」
フードを被らず、目が隠れていないカミナを見るのは初めてだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます