隠された物
「おい、これからどうすんだよ」
ヴィルが口を開く。
アルトとカミナに目的はないが、俺とゴリアテ、ヴィル、そしてニアには目的がある。
ゴリアテとヴィルは適当に迷宮を探検していれば目的は達成できるだろう。
しかし俺とニアは違う。
俺は父親をさがし、ニアは秘術のやり方を手に入れる。
俺とニアの目的を達成するためには情報が要る。
「とりあえずあの迷宮の事を聞かねぇか?養成所に入ってる頃は教えてくれ無かったしよ。」
アルトが声を発する、そういえばそうだった、迷宮は宝箱に隠されている物の傾向によってどんな物が最下層に隠されているのかが分かる。
ここに隠された宝物がなんだったのか教官に聞く事になった。
皆行きたがらないのでじゃんけんをすることになった。
みんなが一斉に言う。「「「じゃん、けん!」」」
みんなの顔を見る。
ゴリアテは恐らくグーを出す、理由は簡単だ、ゴリアテだからだ。
ヴィルとカミナとニアはパーだろう、直感がそう言っている。
アルトは…なんだ…思いつかない…
しかしチョキを出したとしてもあいこだ、ここは安全策をとってパーで行こう。
「「「ぽん!!」」」
勝負は1回で決まった。
溜息をつきながら俺は寮の1階にある教官室へ向かうことになった。
不本意だが仕方がない、
かつては10パーティーだったため教官は10人居たのだが、今は4人しか居ない。
「教官、失礼します。」
教官は突然の来客に驚いていたが受け答えをしっかりとした。
「お、ルドーじゃないか、どうした?教官が恋しくなったのか?」
「いや違います、あの迷宮に入っていた宝物の傾向を知りたくて。」
「そうか…違うのか…」
と、何故か残念そうにしていた。
「あそこの迷宮はな?病気を治したりする薬品とその作り方の本が入ってたんだ、金貨や宝石が出てきたのは、それをしまい込んだやつのへそくりみたいなもんだろう。」
薬品か…と少し考える、たしかにニアの言うような病気を治す物だが魔法とは違う、治癒魔法はその病気や怪我を体から文字通り『取り除く』物だ。
わかりやすく言えば最初からそんなものは無かったことにするのが治癒魔法だ。
しかし薬品は違う。
薬品は『体の治癒力』によって基本的に効果が変わってくる。
つまるところ、どれくらい効くか効かないかは本人の体次第という事だ。
「そうですか…ありがとうございました。」
「おう、元気でやれよ、ルドー。」
そういえば教官には聞きたいことがあった。
「俺の父親の行方を知っていますか?」
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