4層にて

俺たちのパーティーは4層目に突入した。




周りを見渡すと入り組んだ道が血管のように広がっている。




「ここでいったい何人死んだんだろうな」




と陰気臭くヴィルが言う。




「そんなネガティブなこと言うなよ、調子狂っちゃうぜ」




アルトが小馬鹿にするように言い返す。




「でも実際ここで何人も…ですよね?教官…」


ニアが怯えたように言う。




「そうだぞ?ここでは、というかこの迷宮全階層で大勢の死者が出ている。1層と2層が安全なのは我々探検者の先人達が頑張ってくれたからだな!!」




相変わらず教官はうるさい、しかし本当にそうだと思う。




掃討がされる前はよくモンスターが迷宮の外に出てきて、人に怪我を負わせたり、最悪の場合殺していたらしい。




それを見かねたギルドが各迷宮で一斉掃討を行った。


約13年の掃討期間を経て完全にモンスターは浅い階層から完全に消滅した。




ではなぜ全階層の掃討がされないのか…それは簡潔に言うと下に行けば行くほどモンスターが強くなり、仕掛けられるトラップも分かりづらくなる為、費用などが莫大になってきてしまうから行うことが出来ない…らしい…




ここら辺の話は教官から聞いた話だから全部本当の話なんだろう。




そして教官から最後の実戦訓練の相手である『ネズミ』の住む場所の地図を渡される。




迷宮なのだから地図なんかないだろうと思っていたがある程度ここの迷宮は探索が進んでいるようで7階層までの地図はあらかた書き込まれていた。




ここに毒のトラップ、ここに針のトラップ、などが事細かに地図には記されていて、養成所で習った通りの避け方をすればしっかりと避けることが出来た。




ゴリアテが道中、毒のトラップにかかったが、ニアがすぐに治してくれたおかげで大事には至らなかった。


俺も引っかかっておけばよかったかもしれない。




まぁそんなこともあって『ネズミ』の住処に着いた。


着くと辺りに視線と殺気が突き刺さって来ていることを肌で感じることが出来る。




これが本当の命のやり取りなんだと痛感する。




教官が突然




「おい、味方の首をよく見ておけ、そうしないと今日がそいつの命日になる。」


と言った。




俺はその言葉の意図が理解したが次に起きた出来事があまりにも一瞬すぎて行動が出来なかった。




多分他のパーティーメンバー全員も同じだっただろう。






突然ゴリアテが倒れた。



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