パーティーメンバー


「おい!ルドー!!起きろよ!!」




養成所5年目の同期のアルトがそう言ってくる。




自分は朝の気怠い空気につつまれながら夢見心地に言う。




「え?今日なんかあったっけ?休みじゃないの?」




そう、今日は本来なら休みのはずなのだ。




なのにアルトはそう言ってくる。なぜだ…?とルドーは考える。




「昨日教官なんて言ってたか思い出せるか?お前?



そんなに諭されるように言われると困る…しかしなん


て言ってたか…


「あっ!!」




「どうだ!?思い出したか!?」




「今日実戦訓練の最終日じゃん!!



「そうだよ!!」


俺たちは地下に埋まっている迷宮で1年間の実戦訓練をしていたが、たまに3層に来る、ギルドの大規模掃討時に4層に追いやられた雑魚モンスターの『ピクシー』という小さな羽付きの妖精ではなく、4層のメインモンスターである『ネズミ』を倒す日になっていた。




「ピクシーの時は余裕だったからいけるよな?」


「当たり前だろ?6人もいるんだぜ?」




「じゃあ行こうぜ?下で他の4人が待ってる」




他のとこでは怪我人や精神的にきつくなってやめてった奴も居たが、俺たちのパーティーは奇跡的に1人の脱落者も出さずに最後の実戦訓練を迎えることが出来た。




そして俺たちは6人が揃っているから


前衛 中衛 後衛に二人づつと、バランスよく分けることが出来ていた。




俺は中衛の役職に着いていた。




まぁ俺の場合は体が大きくはないから前衛のような攻撃を受けて反撃したりするような事は無理だ。




そして後衛は俺以上に適役がいたから剣と魔法を両方程々に使える中衛に納まった感じだ。




一方アルトは違う。




あいつは剣は使えないが銃と魔法は自由自在に使ってた。




空飛ぶピクシーを一気に何体も撃ち落としたり、銃に魔法を込めれるように自分で改造をしたりしてた。(危ないから教官に注意はされてたようだけど没収はされてなかった)




まぁあいつがいれば援護射撃は充分だった。


そんでほかのやつの説明をすると、




1人図体のデカいのがゴリアテって呼ばれてた、名前はあだ名のせいで忘れた。




力がとんでもなく強くて身長もデカいんで前衛を任されてた。




そんでもう1人の前衛の名前がヴィル、ビルだかヴィルだか知らないけど体がでかい。


あいつとは気が合わないからよく分からない。




そんで俺ともう1人の中衛をしてるのが前髪が隠れてて男なんだか女なんだか分からないやつの名前がカミナ。




ダガーって武器が得意らしくて投げたり斬ったりしてたっけな。




話しかけても笑うだけでちゃんと返してくれなかったが。




そんで最後に俺たちのヒーラーのニア、


ちょっとした切り傷でも回復してくれるヒーラーの神みたいな存在。




そういやあの人の風呂覗こうとしたけど教官に見つかって怒られたっけな………




「おい!!遅せぇぞ!!」




と教官に怒られる。他の4人はもう来てたようだ。




「今日はお前らにちゃんとした迷宮での命のやり取りをしてもらう、ピクシーとは違うからな、引き際を間違えたら死ぬぞ?」




俺とニアは怖気付いたが、他の奴らはすでに覚悟が決まっていたらしい。




俺たちは実戦訓練を1年間程していたが、本当の意味での命のやり取りはこれが初めてだった。




今までは命のやり取りじゃない。




一方的な略奪だった。




だからこそ俺は怖かった。




自分が死ぬ可能性が生まれたからだ。




しかしアルトは




「早く行きましょうよ!俺は早くピクシーより強い敵に会いたいです!」




ふざけるな…お前もうちょいなんかあるだろ…教官怒るぞ…?と思ったが




「その意気だ!!迷宮では負けをイメージすることが死に直結する!!これはお前らの最初の1年間の行動理念の学習の時に習った―――」




んー話が長い。




途中記憶が飛んだがいよいよ迷宮に入るということになった。




1・2層の観光客にたくさん喋りかけられたが適当に返事を返しておいた。




これから死ぬかもしれないからそんな気分ではあまり無かったからだ。




そして3層で探検の支度をする。




支給の薬草と聖水。




聖水の用途はモンスターから身を隠すためや、消毒、そして薬草と同時に服用すると効果が少し上がるというよく分からない効能の為に持っていっている。




そして自分の武器を手入れしてから向かい、4層に降りる階段に向かう。




1・2・3層は降りてすぐに開けている場所で道に迷うことは無かったのだが、4層は入り組んだ迷路になっていて、迷って餓死してしまいそうな場所だった。




しかし明かりは付いていて迷路のような道の両端に蝋燭のようなものが着いている。




「あんな小さいのによくこんな明るいな…」と唐突にアルトが話しかけてきた。




「そうだな…1層とかは電球を照明にしてたのにそれと同じ明るさになるのか…?あの小さい蝋燭で…?」




ふと周りを見るとゴリアテとヴィルは柔軟をし合ってる。




ホモかよ…と一瞬思ったがすぐにそれは吹き飛んだ。




カミナとニアが話してるのを見てカミナに少し嫉妬した。




少しね。




ほんとに。






そしていよいよ4層に潜ることになった。





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