第2話 勝てりゃいいってもんじゃない
――――そして俺が冒険に出て一ヶ月が経った!
「ギブアーーーーップ!!!!」
あっと言う間に時間が巻き戻って、俺は神様と二度目の対面。
「お? どーしたんじゃ?」
「もう無理! 絶対に無理!」
「何が無理なんじゃ?」
「苦戦しすぎだっつーの!! なぁーんで最初の村のスライムと一時間も死闘せないかんのよ!?」
「でも勝てたじゃろ?」
「毎日毎日何時間も戦ってられんのじゃい! 毎度死にそうになるんだぞ! ケガは魔法で何とかなっても、苦痛で心が折れてしまう!! 拷問かっ!!」
「でも勝てるじゃろ?」
「そーゆー問題じゃねーっつーのぉ!!」
「意外と根性ナシじゃのお……」
「根性ナシでも何でもいいから、とにかく能力を変えてくれぇ~!」
「参考までに聞きたいんじゃが……どこまで行ったんじゃ?」
「……四天王の一人目、力の四天王を倒したとこまで」
「うーん、思ったより進んどらんのぉ。まだ四天王が三人も残っとるんか? ほんならしょうがないのぉ」
こいつ、他人事だと思いやがって……。
まあ良いや。とにかく能力を変えてもらおう。
「苦戦、ダメ、ゼッタイ! もっと楽に勝てる能力にしてください!!」
俺は土下座する勢いで頼み込んだ。
「うんうん、実は打ってつけの能力があるんじゃ」
マジ!!?? 何でも言ってみるもんだなぁ……。
「やっぱり時代はお手軽さ、インスタントを求めとるんじゃなぁ~。苦戦なんか時代遅れと」
最初のザコにも苦戦するのは時代遅れとかそういうレベルじゃないと思うけど。
「そんなナウなヤングのお前さんには即死チートを授けようではないか!! 『目を合わせた者を即死させる能力』じゃ!!」
「うおおおおおお!?!? マジっすかぁ!?」
「マジじゃよ」
「よっしゃぁ!! 行ってきまぁーす!!」
「がんばってのぉ~」
――――三日後!
「ギブアーーーーップ!!!!」
「えらい早いギブアップじゃのう。今度は何なんじゃい」
三日という短期間に神様はちょっとあきれ顔。俺も想定外だったよ。
「最初の村のスライムに勝てねぇー!! スライム強すぎぃ!! あいつ、目が無いじゃん! 即死チートが効かないじゃん!」
「スライムぐらい自力で倒せんのか?」
「スライムっつっても、めちゃくちゃ強いんですけど!? 打撃も火も効かねえの! つーか、村のちょっと強いぐらいの兵士でもスライムに苦戦するレベルじゃん!!」
「そりゃ魔王も本気で攻めて来とるんじゃからの。一般人に倒せるレベルのザコなんか送り込んでもしょうがないじゃろ」
「そりゃそうだけどぉ!! チートが効かない目玉の無いモンスターに攻められたら勝ち目が無いじゃん!!」
「いやレベルアップがあるじゃろ……」
「あるけど!! 苦戦はダメって言ったじゃん!!」
「ワガママじゃのぉ」
「他の能力に変えてください!!」
俺は再び土下座する勢いで頼み込んだ。
神様はアゴに手を当てて考える。
「そうじゃのぉ……イマドキ流行りの知識チートはどうじゃ?」
「知識チート!?」
「お前さんが戦う相手のステータスや弱点が一目でわかるんじゃ!!」
「おおっ!?」
「弱点を突けば戦いは楽になるじゃろ。危険な敵の能力とかも事前にわかるぞい」
「……弱点の無い敵とかいないですよね?」
「安心せい! 弱点のないヤツなんかおらん!」
「本当ですね!? 絶対ですね!?」
「本当、本当! 神様であるワシが言うんじゃから間違いナッシング!」
「じゃあ……行ってきます」
「勇者の身分があれば仲間も集まるじゃろうから、とにかくがんばるんじゃぞ~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます