歴史

南海道・九龍王国の歴史

 十六世紀、南蛮貿易を通じて影響力を強めていたスペインが高良たから諸島の実効支配を始める。キリスト教に改宗した首長のカウ氏は先住民高良族にキリスト教を広め、その後のスペイン支配を盤石なものとした。

 十七世紀には高良諸島は中国の冊封を受けていた九龍王国(西瀛王国とも)に割譲され、さらにそこにオランダやイギリスが進出してきたりと、各国の利権が複雑に絡んだ係争地となり続けた。


 十六世紀の南海道では同じ頃、最南端の鸞台らんだい(現在の伊波いなみ県伊波市)に港が開かれ、南蛮貿易が盛んだった。イエズス会から派遣された宣教師たちの熱心な布教活動により、一時は南海道全ての藩主がキリシタン大名だった。南海道北部の桃川ももかわ藩を支配した鬼島きじま氏、南海道南部の津州しんしゅうを支配した霞浦かすうら氏などが有名。

 奴隷貿易も盛んに行われ、ポルトガルの植民地へ労働力として大量の日本人奴隷が送り込まれた。

 その後、十七世紀前半にオランダの東インド会社が北部を制圧し、それに伴って十七世紀末までにポルトガルは撤退した。


 河戸かわど時代(こちらでいう江戸時代)に鎖国が始まったものの、キリスト教徒の多かった南海道では禁教令が全土に行き届くのに時間を要した。旧上津かみづ藩(現在の奈津崎県)では藩主の霞浦かすうらパウロが河戸時代に入っても堂々と信仰を続けており、十七世紀初期幡宮はたみや亀山かめやま町に建てられた亀山大聖堂かめやまだいせいどう(聖アントニオ天主堂、カテヅラルとも)は破壊を免れ、戦後に再建された。

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