自家中毒者たち
ちょっとこんな状況を想像してもらいたい。
あなたがいつものように外を歩いていると、前から見るからにヤクザ風の男が歩いてきた。
あなたはその風貌に気を取られ、すれ違いざまにその男の方を見てしまい、つい目が合ってしまった。
「おい、てめぇ!! メンチ切ってんじゃねえぞ!!」
男は威圧するようにこちらを睨みつけた。
どこかでこんな話を一度は耳にしたことがあると思うが、よく考えるとこれは典型的な「被害妄想」である。
被害妄想は虐待被害者が見せる共通した特徴の一つでもある。逆らえない強者から常に理不尽な暴力に晒されてきた弱者が防衛機制として、こうした心理的傾向を持ちやすいからだろう。
無法者にしろ被虐待児にしろ、他人からの発言や行動を全て自分への攻撃と拡大解釈する人が、安定した人間関係や信頼関係を築きづらいのは言うまでもない。
そうした傾向をもった人は社会生活に支障をきたしやすく、やがて彼らの一部が本格的に精神病を発症していく。
今まで私の身近にも、こうした被害妄想を持った人々が数多くいた。
彼らは私の行動や言動に勝手に敵意を見出し、バカにされたと思って傷ついてしまう。たとえどんな話をしていても相手の気分次第で口論が勃発、なんてことも多く、大変困った。
かくいう私もそういう傾向を持っているのであまり人のことは言えないが、被害妄想のある人たちは他者と関わること自体で(実際にその人が悪意を持ってその人を傷つけようとしていなくても)勝手に傷ついていく「自家中毒者たち」なのである。
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