第9話 感謝
私の心に引っかかっていたしこりは取れたはずなのに、
学校に通えないという現実だけは変えられなかった。
保健室登校にして頂いたり、
人に会わないよう、登校時間をずらしてみたり、
当時の担任の先生と保健室の先生に、
試行錯誤をしてもらったが、どう頑張っても通えるようにはならなかった。
今日は行けそうだなと思えた日が一度だけあって、
通常通りに登校してみたが、
学校が近付くにつれ、冷や汗が止まらなくなり、
顔が青ざめていくのが分かった。
生徒玄関についた頃には、呼吸が苦しくなって、
動悸が収まらず、立っているのもままならない状況になっていた。
しゃがみこんでいるところを、同じクラスの男の子に助けてもらい、
私は保健室まで運ばれた。
着ていたワイシャツは冷や汗でびしょびしょになっていた。
意識も朦朧としていたらしく、
受け答えがきちんとできていなかったそうだ。
ただ一つだけ鮮明に覚えているのが、
救急車を呼ぼうかと言われたときに、そのときにあった力を振り絞って、
それだけは大丈夫ですとひたすらに言っていた事だ。
その日、一度は教室に戻り授業を受けられたのだが、
結局、吐いてしまい早退をした。
一学期が終わる頃に先生から、
これ以上休むと進級が難しいという事を告げられた。
夏休み中、私は、通信制に編入するのかどうかひたすら考えた。
通信制という選択肢は、私が学校に行けなくなった時点で、
先生から提案して頂いていた。
結果的に通信制に編入することを、私は決めた。
先生は、
「一緒に卒業式迎えたかったなー。
解決してあげられなくてごめんね。」
そう言ってくれた。
頑張れなかった事、心配ばかりかけてしまった事、
たくさんたくさん申し訳なく思った。
編入の手続きも一緒にしてくれて、
学校をやめるその日まで、一番近くでサポートしてくれた。
私は、仲良くしてくれていた子たちにだけ、
学校をやめる事を告げた。
きっとその子たちが居なかったら、
一年生の終わりに学校をやめていたと思う。
その子たちが、保健室まで迎えに来てくれて、
一緒に教室まで行こうと誘ってくれたり、
お昼休憩の時に毎日来てくれたり、
たくさん支えてくれて、本当に感謝しかない。
その子たちとは、学校をやめてからも仲良くしている。
私にとって彼女たちは、一生の友達だ。
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