第7話 責任

三月から六月まで、

自粛期間となり、学校は休校となった。


三月、遅れていた分の勉強をして過ごした。

数学がめっぽう苦手なのでひたすら課題と自主勉強をした。

家で友達と遊んだりもした。


四月、父が単身赴任から帰ってきた。

海外に行っていたので、帰国してから二週間、隔離されていた。

帰ってきたその日に、父から家族会議をすると言われた。

お土産話でもするのかなと、私は呑気に思っていた。

しかしリビングには、ただならぬ雰囲気が漂っていた。

そして、父が重たい口を開き、

「お父さんとお母さん離婚することになったから。」

と言った。

訳が分からなかった。

理由を聞くと、

「夫婦間の問題で離婚する。」

と言われた。

母からは

「あなた達を嫌いになったわけじゃないよ。」

と言われた。

納得はできなかったが、深く聞けるような雰囲気ではなかったので、

私はそれ以上、何も聞かなかった。

経済面を考えて、親権は父が持つ事になった。

「会いたいときに会っていいんだよ。」

と父は言ってくれた。

私は首を縦に振ることしかできず、そのまま話は終わった。

その晩。

眠れなくて、水を飲みに行こうとした時に、

父と母の会話が聞こえてしまった。

親権の事について再確認しているようだった。

父がこれでいいのかと母に聞いた時、

衝撃的な言葉を聞いてしまった。

あの子たちの世話をするのはもう疲れたの、

特に××が学校に行かないのが苦痛、

そう母は言った。

ショックだった。

どんなにきつく当たられても、私の母親はこの世に母だけで、

どんなにないがしろにされようと、心の中ではいつも大好きだった。

私が母を苦しめていたのかと思うと胸が痛かった。

今まで母にされた事なんてすべて忘れて、申し訳ないと思った。


五月、母が出て行った。

大きな荷物を持って、一度も私たちの方を振り返らずに行ってしまった。

本当に捨てられたんだと実感した。

涙が止まらなかった。

心にぽっかり穴が開いた気分だった。

何も信じられなくなった。

ご飯は味がせず、毎日生きた心地がしなかった。

私のせいで、母の心の引き金を引いてしまって、

離婚という結果を招いてしまった。

産まれてきた事を今まで以上に後悔した。

三週間で体重は五キロ落ちた。

瘦せたというよりは窶れていた。

苦しかった。

死にたかった。

ODを頻繁にするようになった。

毎晩、三十錠近くの薬を飲んだ。

でも、怖くて死ねなかった。

自分の弱さにさらに絶望した。


六月の中旬。

分散登校が始まった。

母がいなくなってからその時までに、体重は合計七キロ落ちた。

そんなある日、母から一通の手紙が届いた。

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