第6話 繰り返し

待ちに待った入学式。

晴れて高校生になった私。

真新しい制服に身を包み、新しい靴を履き、

私は新たな一歩を踏み出した。

幸運にも塾で仲の良かった子と、同じクラスになれた。

入学式が終わり、教室に行くとその子が、

同じクラスでよかったと飛びついてきた。


入学してからしばらく経ち、

友達も増え、いつも四人でいるようになった。

そんなある日、情報の授業で事件が起きた。

六月になると気圧の変動の影響で偏頭痛が出やすくなる私は、

前の授業を休んでしまっていた。

久しぶりの情報の授業だったので、

先生にプリント等をもらった。

その時に、

「わからなかったら隣の人に聞いていいからね。

先に進めちゃうけど話してもらっていいから。」

と先生から私語の許しを得ていた。

しかし、授業が始まってからしばらく経って、

私が私語を口にした時、

先生から話すなと怒鳴られた。

決して私が大声で話していたわけじゃない。

隣の人にも聞こえるか聞こえないかギリギリくらいの声量で話していた。

理不尽だと思った。

話していいと言ったのは先生の方からなのに、

クラスメイトの前で怒鳴られた。

当て付けかのように、

高校生では解けない数学の問題を、

授業と何ら関係ないのに、ホワイトボードの前で解かされた。

もちろん解けるはずもなく、

解けませんと正直に言ったら、また怒鳴られた。

「どうして私ばかりが。」

心の中でそう思った。

それからもその先生から私への対応は高圧的なままだった。

ほかの先生も、私に対してではないこともあったが、

問題を間違えるとため息をつかれ、

こんなのも解けないの?と馬鹿にされたり、

全体に向かって、お前らは幼稚園児かとチョークを投げつけてきたり、

とんでもない高校に入ってしまったと思った。

半年くらいその状況が続いたとき、

中学の頃の嫌な思い出がフラッシュバックするようになった。

人と接するのが怖くなり、学校に行けなくなった。

日々の些細なことが積もりに積もって、

ある日突然、大爆発を起こした。

学校に行かないなんて両親が許すはずもなく、

良好だった親子関係に、自分でひびを入れてしまった。

だが到底、学校に通える精神状態ではなかった。

震えも涙も止まらない。

寝つきも悪く、目の下には酷いくまが出来ていた。

手首だけにはとどまらず、足にも傷が増えた。


私は、年明けから一か月学校を休んだ。

母には怒鳴られ、父にも怒られ、

全面的に否定され続けた。

私の人間性までもを否定されている気になった。


このままじゃだめだと思い二月、一か月ぶりに学校に行った。

待ってたよと友達やクラスメイトが出迎えてくれた。

いいクラスでよかったと思った。

久しぶりに幸せだと感じられた。


しかし、また頑張ろうと思っていた矢先に、

新型コロナウイルスの感染拡大によって、自粛期間に入った。




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